最終更新日:2021-02-27
国税のマル査が動くと7割告発 最近は少額の脱税額でも着手
- 2021/02/27
認知症グループホームで入居者から集めた費用の一部を計上せず約6500万円を脱税したとして、東京国税局査察部(マル査)が法人税法違反の疑いで、いずれも千葉県松戸市の有限会社「アートアシスト」とNPO法人「なかよしネット遊歩」、両法人の先達徳男代表)を千葉地検に告発していたことを毎日新聞(2021年2月25日)が報道した。この国税局査察という部門が、よくマスコミに出てくるが、どんな組織なのだろうか。
数千万円の脱税事件でもマル査は動く
国税組織における査察部門は、別名「マル査」とも言われる。なぜ、そのように呼ぶかというと「査察」の「査」を○で囲んだことから、「マル査」と通称で呼ばれるようになったという。
マル査という言葉が有名になったのは、1987年公開に公開された伊丹十三監督の「マルサの女」という映画から。国税の警察みたいな組織で、一般の税務調査官と違い、査察は令状による強制捜査を行う。検察庁への告発を前提に査察は行なわれ、どう脱税犯をあげるか、決着点は決まっている。なので、マル査が入るとなると、ほとんどの人が慌てる。また、取引先などにおいては、マル査が入った会社の印象は悪くなり、取引を辞めてしまうケースも少なくない。
マル査が着手する案件は年間200件前後、このうち告発に至るのは150件前後という。着手されたら、7割以上の確率で告発されている。ターゲットはかつて、1億5千万円超の悪質な脱税と言われていたが、最近は現金取引が減少しているため、多額の現金を売り上げから除外したり、架空取引を装うなどが出来ない環境になってきた。そのため、大型案査察事案は少なくなり、数千万円の脱税事件でも動く。今回の認知症グループホームも約6500万円の脱税額だ。 消費税ではかつて3千万円でも告発されたケースがある。マル査が動くとなると、チームで数カ月掛けるため、従来は案件が小粒だと「費用対効果が合わない」とも言われてきた。金額的に大型案件が少なくなる中、最近は脱税も金額よりインパクトのある案件を手掛けるように変わってきた。マスコミに情報が漏れるのも、そういう理由からだ。
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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。