最終更新日:2024-06-12
国税庁 公益法人の電子データ保存で文書回答
- 2024/06/12
今年1月から本格的にスタートしている電子帳簿保存法。DXによる業務効率化や生産性向上、ペーパーレス化の推進が期待される一方、その運用方法において電子データ保存の範囲についていろいろな疑問が生じている。
1.収益事業以外の電子データも保存
国税庁はこのほど、「収益事業を行う青色申告法人である公益法人等の電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存について(収益事業以外の事業の取引に関する電子取引の取引情報について)」の文書回答事例を公開した。これは、かねてより疑問が生じていた収益事業を行う公益法人の電子データ保存の範囲を明確にするもの。
公益法人等一定の法人の税金については、収益事業と非収益事業とに分け、収益事業についてのみ法人税を計算して申告納税することとされている。帳簿保存の範囲については、公益法人等が青色申告法人かそれ以外かで取扱いが異なる。
青色申告法人以外の場合、現金出納帳その他必要な帳簿、また、「収益事業に係る取引」に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び相手方に交付したこれらの書類の写し、さらに、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類を保存することとされている。他方、公益法人等が青色申告法人の場合は「収益事業に係る取引」に関しての定めがないことから、収益事業を含む全ての事業の取引に関する書類を保存しなければならないこととされている。
一部で疑問が生じていたのは、公益法人等が電子取引を行った場合のデータ保存の範囲について。電帳法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)では、電子取引の取引情報について収益事業に係る事項が定められていない。このため、収益事業を行う青色申告法人である公益法人等は、収益事業についてのみデータ保存すればよいのか、収益事業以外の電子データも保存するべきかという疑問が生じていたわけだ。
これについて大阪国税局は「収益事業を含む全ての事業の取引に関する帳簿書類を保存する必要があるとともに、当法人が取引情報の授受を電磁的方式により行った場合には、一定の要件に従って、収益事業を含む全ての事業の取引に関する電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない」とする照会者の見解で差し支えないと回答。これにより、かねてより生じていた疑問は大筋で解消したことになる。
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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。