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最終更新日:2022-03-04

「RPA+AI-OCR」が会計事務所を変えていく!!
会計事務所のニューノーマルになりつつあるRPA
進化したロボットは「紙」の資料も自動でデータ化!

  • 2022/03/03
  • 2022/03/04
「RPA+AI-OCR」が会計事務所を変えていく!! 会計事務所のニューノーマルになりつつあるRPA 進化したロボットは「紙」の資料も自動でデータ化!

電子帳簿保存法などに代表されるデジタル化の波。それに合わせ会計業務の効率化に役立つ「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)も、自動化できる業務範囲が拡がっている。そこで、会計事務所のRPA導入を支援しているアシモフロボティクス(株)代表取締役で公認会計士・税理士の藤森恵子氏(写真)に、進化する「RPAロボット」が作り出す新しい会計事務所の働き方などについて解説してもらった。

アシモフロボティクス(株)(税理士法人ビジネスナビゲーショングループ)
代表取締役/公認会計士・税理士・MBA 藤森 恵子氏
デジタル庁 有識者委員
サイバー大学 IT総合学部「 RPA入門」 客員講師

RPAは会計事務所のニューノーマル

一昨年頃から会計事務所業界で話題となっている「RPA」をご存知でしょうか? RPAとは、パソコン上で行う様々な作業を人の動きを覚えて自動化する生産性向上のためのソフトウェアです。会計事務所においては、待ち時間の長い税務申告ソフトの操作や面倒なエクセルの転記作業を正確、高速に実行してくれるスーパーアシスタントとして活用されています。

このRPAは、現在使っている会計ソフトや税務申告ソフトをそのままに、会計業務、税務業務を自動化することができますので、職員に負荷をかけること無く効率化を進めることができるのが特徴で、慢性的な人手不足で悩む会計事務所業界の救世主として注目されています。実際に、弊社のお客様の場合、「全労働時間の25%が削減できた」「繁忙期のパート増員が不要になった」「誤った申告処理が無くなった」などの大きな導入効果を上げており、会計事務所のニューノーマルになりつつあります。

■会計事務所で活躍するRPAロボット

ここで、会計事務所で活躍するRPAをご紹介します。最も人気があるのは「電子申告~メッセージ取得ロボ」です。①署名②電子送信③メッセージ詳細取得④メッセージ詳細印刷⑤メッセージ詳細にファイル名をつける⑥クライアントフォルダに保存という6つのプロセスを連続して自動化するロボです。電子申告やメッセージの取得は待ち時間が長いことや、確定申告の時期などは一日中、電子送信を行っている担当者がいるといったことなどから、RPA化のニーズが強くあります。他には「成果物作成ロボ」も人気があります。顧問先にお渡しする申告書類一式と決算書一式を各々、税務申告ソフト、会計ソフトから自動で取得し、PDFやDocu形式などの一つのファイルに統合して、クライアントフォルダに格納するまでを自動で行います。

弊社には、「RPAは会計事務所で本当に効果があるのか」とか「他社ツールを導入したが、費用対効果が合わない」といった問い合わせを多くいただきますが、ご紹介したように、個人の業務の自動化レベルではなく、プロセス全体を自動化したロボットを事務所全体で活用することで、効果は必ず上がります。

ただ、事務所全体で活用するとなると、「ITに慣れていない職員の抵抗があるのでは?」と多くの所長様が心配されます。そこで弊社では、絶対に活用してもらえる『対話型RPA』と『全自動型RPA』を提案しています。

進化するRPAロボット

①『対話型RPA』

『対話型RPA』とは、会計事務所で人気のChatworkを活用して、ロボットと対話しながら使うRPAです。例えば、顧問先を訪問する際に持参する、「試算表」「月次推移」「対前期比較」を会計ソフトから出力する「訪問資料作成ロボ」を例にとって説明します。まずは当該ロボット専用のチャットグループを作成します。そして、ロボに空チャットを送るとロボが「クライアントコードをお願いします」と返事をくれますので、その返信で、クライアントコードを入力します。すると次に、「PDF出力ですか?印刷ですか?」と聞いてきますので、ここで「PDF出力」と返信すれば、ロボットは会計システムに自動でログインし、指示されたクライアントコードを入力し、必要な資料をPDF化して、チャット上にファイルをアップロードするという仕組みです。

対話式なので、普段職員同士がやり取りするのと同じ感覚でロボットというサイバー職員に指示を出すことができますので抵抗感が生じません。

また、Chatworkを活用することで、印刷かPDFかといった状況にあわせた指示も、都度、行うことができますし、スマートフォンを利用して、外出先から次の訪問先の資料作成の指示が出せるなど、RPAの活用範囲を広げることが出来ます。

②『全自動型RPA』

次にご紹介する『全自動型RPA』は、ロボットが自律的に作業を実施するというRPAです。従来型RPAのように、利用したい時にRPAソフトを起動して、ロボットの起動ボタンをクリックするという操作ではなく、ロボットが自分で処理内容を判断して、自動で作業を実施するという仕組みです。指示待ち職員ではなく、自発的に仕事を見つけて動く職員といったイメージでしょうか。「申告データ取り込みロボ」を例にとってご説明します。作成した申告書データを電子申告するために、各税務申告ソフトで取込みもしくは変換という作業を自動で行うロボットです。

まず、ロボットは、タイムスケジュール実行で起動したのち、Excel、kintone、MyKomonなど、日常使っている進捗管理表を見に行きます。変換を実施する前に、人と同じように、税理士チェック日付と顧問先承認日付が入っている顧問先を抽出し、その日付が今日の日付の『前』であることを確認してから、データの取込作業を実施します。それだけではなく、ロボットは作業を終えると、自身が作業した日付を進捗管理表に入力します。いわゆる作業実施報告をロボ自身が行います。

このように、ロボの作業を自律的に実施させる全自動型であれば、活用は自然と進みます。また、弊社のお客様からは、「担当職員が、税理士のチェック前に取込作業を行ってしまい、修正が入ったにもかかわらず、更新し忘れて古いデータで申告するといったミスが回避できるので、管理的にも良い」とのお声もいただいています。真面目で正確なロボならではの活躍です。

全自動型RPA

『RPA+ AI-OCR』

RPAは、AI-OCRというツールを組み合わせることで、更に進化し会計事務所の働き方を大きく変えることが出来ます。RPAはパソコン上のソフトウェアですので、その活用範囲を広げるためには、まだまだ根強く残る紙文化への対応が必要となります。その紙のデータ化を実現するのがAI-OCRです。

ここで、AI-OCRというツールをご紹介します。OCRとは、手書きや活字のテキスト画像を、データに変換するソフトウェアのことです。例えば通帳や請求書をスキャナーで読み取ってOCRにかけると、データとしてExcelにすることが出来ます。OCRは従来からあった技術ですが、近年AI技術を活用することで、読取精度が飛躍的に向上し、現在、急速に利用が拡大しています。もし、以前OCRを試してみたけど、識字率が低くて業務で使うのは無理と諦めた方がいらしたら、是非、お問い合わせください。現在の技術水準に驚かれることと思います。

RPA+AI-OCR

『RPA+AI-OCR』が会計事務所の働き方を変える

ただ、会計事務所において、このAI-OCRを単独で利用するには、課題があります。通帳をデータ化し、会計システムに取り込む作業を例にあげて考えてみましょう。

大まかな流れは、次のとおりです。①通帳のPDFファイルを各顧問先フォルダに置く②AI-OCRにPDFファイルを一つ一つ取込む③AI-OCRから出力されたファイルを会計システム取込用フォーマットに一つ一つ変換④会計システムへ顧問先ごとにアップロード 確かに、通帳の打込み作業がなくなるので、処理時間としては速くなりますが、大量のExcelの変換作業や単純なアップロード操作を繰り返すこととなり、人が実施するには退屈ですし、ミスも起きそうです。

RPAを組み合わせれば、前述の②~④の作業をすべてロボットで自動化できますので、人は①PDFファイルを顧問先フォルダに置く作業をするだけです。後は、ロボットが会計システムへアップロードするところまで、全自動で実施してくれ、作業の終了をChatworkなどで知らせてくれます。他にも請求書、領収書などへと活用範囲を広げることで、面倒な打ち込み作業の多くが自動化でき、職員は仕訳内容の確認や修正により多くの時間を割くことが出来ます。

■会計事務所に必要なDX

弊社のサービスは、会計事務所様だけでなく、一般の中堅・中小企業様にも数多くご利用いただいておりますが、コロナ禍を経験した一般企業におけるDXのスピードは更に加速しています。これにより、会計事務所にもよりITを活用したサービス提供が求められているのを感じています。但し、会計事務所のメイン業務はシステム開発ではありません。 

重要なのは、会計事務所自体が様々なテクノロジーを知り、取り入れ、活用していくことではないでしょうか。弊社が実施する「会計事務所様向けRPA活用セミナー」では、既にRPA導入済みの事務所様が多く参加されますが、多くは「導入はしたが、活用できてない」という状況で、非常にもったいないと感じています。

今回はRPAに続く会計事務所DXのテクノロジーとしてAI-OCRをご紹介しましたが、弊社では他にもkintoneのような業務アプリや、予実管理・財務分析に活用できるBIツールなどを『対話型RPA』『全自動型RPA』と合わせて提供していますので、無理なく日常業務の中で取り入れ、活用してくださっています。

弊社の原点は、税理士法人を母体としたビジネスナビゲーショングループの中で、顧問先へ生産性向上のITソリューションを提供したいと考えたことであり、会計事務所の情報システム部としてプラットフォームになることを目指しています。会計事務所の皆様が、顧問先経営者様へ行うアドバイスの中でI T ソリューションが必要な場合に弊社がサポートすることで、ITについての相談も可能な会計事務所として差別化を図っていただければと考えています。


アシモフロボティクスのRPAサービスは、ロボットの開発はもちろんメンテナンスまでまるっとおまかせ。事務所内でRPA人材を育成することなく、RPAを活用した効率化をすすめることが可能に。

また、「会計事務所様向けパッケージロボ」と「伴走型のコンサルティングサービス」で、大きな効率化効果を多数の事務所で実現。一般企業の導入実績も多いことから、顧問先様への効率化提案のご相談も可能。

https://asimov-robo.com info@asimov-robo.com

「RPA+AI-OCR」が会計事務所を変えていく!! 会計事務所のニューノーマルになりつつあるRPA 進化したロボットは「紙」の資料も自動でデータ化!

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