最終更新日:2024-06-26
税理士法人、さらに進む統合・大規模化
- 2024/06/26

2002年(平成14年)から税理士法人制度が設けられ、今年で22年目となるが、いよいよ本店だけで5千を超えそうだ。日本税理士会連合会(日税連)によれば、今年2月末現在の税理士法人数は4,998。税理士法人数は年間200ペースで増え続けている。そこで、今後の法人動向を探ってみた。
いつまで続く税理士法人の増加傾向
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税理士法人の「廃業・解散」件数は令和になり、元年と2年がともに84、3年が76、4年74と若干、平成時代よりは増えているが、設立・設置件数はそれを上回る勢いだ(図1参照)。
法人数の件数増加が何時まで続くのか税理士法人数の件数増加が何時まで続くのかも注目だが、ここでは「規模(職員数)」に注目したい。
図2:職員200名以上の主な税理士法人
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税理士法人制度の創設当初は、個人事務所の延長線上という感が強く、日税連調べても税理士法人の8割超が社員税理士2名で、全体でも10名以下の事務所が多くを占めた。しかし平成24年頃になると、全体的に法人規模はかなり大きく、職員数100名を超えるところも増えた。現在、職員数200人超の事務所もこれだけある(図2参照、注:東京共同会計は税理士法人ではない)。
2024年1月現在で見ると、税理士法人単体で辻・本郷税理士法人(東京・新宿区)は2,076人と、海外大手グローバル会計事務所であるBig4の倍の規模まで拡大している。10年ぐらい前には1千人規模だったことからすると、急拡大だ。
【4大監査法人系税理士法人】
・KPMG税理士法人約750人
・PwC税理士法人 約680人
・EY税理士法人 約800人
・デロイト トーマツ税理士法人 約900人
巨大化した税理士法人の悩みとは
某税理士法人の代表は、大規模化する理由について「顧問先が育って大きくなると、その規模に合わせて税理士事務所を変えてしまう。世話になったからと監査役などのポストを用意してくれるが、任期が過ぎればお役御免。何件、それで顧問先を失ったことか。だから自分の事務所を大きくしていくことにした」と話す。
規模が大きくなれば、資金力、ブランド力から、人材採用にも有利に働く。さらには、一定の業務品質を保つため、国税出身税理士の採用が積極的になり、これまで広げられなかったビジネス領域にもチャレンジしやすくなる。何より、経営トップが実務をやらないで、経営に専念できるのが、小規模事務所との一番の違いだ。
税理士事務所の多くが即戦力を求め経験者採用に力を入れるが、規模が大きくなり人的な余裕が出てくると、新卒採用に力を入れられる。ある税理士法人の代表社員は「新卒は、教育をしっかりすれば長期採用に繋がり、将来の幹部として育てやすい。今後さらに、若手の採用が難しくなってくるため、毎年、一定数の新卒を採用している」と言う。
個人事務所はともかく、中規模事務所は、“ウリ”がなければ、ブランド及び資金力などの面から、厳しい経営が迫られるものと推察される。規模の2極化が益々進み、中規模事務所同士の合併や、大規模税理士法人による
小・中規模事務所のM&Aが顕著になってくるだろう。税理士法人制度の経過後1~10年を「創設・制度定着期」、11~20年を「拡大期」としたら、今からあと10年弱は「統合・拡大期」になるのではないだろうか。
現在、税理士法人制度が創設された頃に50歳代で油が乗っていた独立系税理士法人の経営者が70歳を超え、事業承継時期に差し掛かっている。役職的な後継者はすでに指名したとしても、一代で事務所を大きくしてきたカリスマ創業者と比較すると、巨大化した税理士法人をまとめていくには、求心力が足りないとの声も聞かれる。
最近は、30~40歳代の勢いのある税理士が急速に事務所拡大を進めており、会計事務所の勢力図にも変化が見られる。拡大がどこまで続くのか、金融緩和で銀行が集約されたように税理士法人も集約・整理されていくのではないだろうか。

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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。




