最終更新日:2022-08-26
知られざる実態 税務署が行う税理士調査(1) 「実態調査」は税理士法違反を確認している
- 2022/08/26
執筆者
宮口 貴志
KaikeiBizline論説委員兼編集委員
税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。
税務署は税の専門家である税理士に対して調査を行うのか?答えは「YES」だ。最近はSNSやブログなどでも紹介されていることもあるが、詳しい実態はあまり明らかに書かれていない。そこで、会計事務所業界や国税当局を30年取材してきた筆者が、税理士調査の実態について紹介する。
それなりのポジションの幹部が担当
税務署が税理士に対して行う調査は2種類ある。一般にいうところの所得税の「税務調査」と、監督官庁である国税当局が税理士に対する指導監督を目的とした「実態調査」だ。
今回は、この指導監督を目的にした「実態調査」について触れてみたい。
税理士実態調査というと、名称から税理士バージョンの「国勢調査」的なイメージがあるかもしれないが、実は税理士法違反をしていないか、専門家としてきちんと仕事をしているかを調査している。税理士監理官が税理士の業務内容を確認するためのものであり、違反をしていれば国税当局から指導が行われ、その程度が酷ければ懲戒処分の対象になりかねない。
では、実態調査は誰が担当するのだろうか。この点、国税当局も気を使っており、それなりのポジションの幹部が担当する。税務署としても日ごろから友好関係にある税理士先生とは、何もなければもめたくないため、通常は税務署の総務課課長補佐や個人課税部門の一統括(統括官)等で、税理士の業務の執行状況を個別に接触して確認する。
基本的に、実態調査は税理士の協力を得て行われるもので、所得税調査のような受任義務はない。ただ、拒むと何か悪いことをしているのではないかと目を付けられるので、できる限り協力する方が賢明だ。国税当局側も、年間の実態調査件数を決めおり、問題がなくとも件数はこなさなくてはならない。そんな事情も十分理解して対応する方が賢明だ。
懲戒処分を念頭に質問形式で実施
実態調査の内容としては、基本的には質問票に基づいて質問形式で行われる。
国税OB税理士の話では、時間的には1時間程度のもので、
- 税理士業務処理簿の作成状況
- 決算書類の保管状況(年分、保管場所)
- 顧問先から預かった書類等の保管状況
- 会計業務の外部委託状況
- 登録事務所以外で業務は行っていないか
- 顧問先との間で業務委託契約書を作成しているか
- 顧問料の集金方法、振込口座
- 事務所の設備(パソコン、会計ソフト等)
などについて聞かれる。
実態調査で注意することは、税理士法上で問題になることをしてないかという点。実態調査は、税理士監理官が懲戒処分を前提として税理士法上の調査を行うことになる。そのため、税務署から実態調査の依頼が来たら、税理士としての業務をきちんと行っているかどうか、再確認しておくことが肝要だ。
(つづく)
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元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。