最終更新日:2026-02-18

2026年の確定申告 基礎控除見直しで“申告すれば戻る人”とは?海外転勤・退職者は要チェック

  • 2026/02/18
2026年の確定申告 基礎控除見直しで“申告すれば戻る人”とは?海外転勤・退職者は要チェック

令和7年度税制改正で基礎控除などが見直されたことを受け、国税庁は7年分所得税の確定申告に関する情報を公表した。改正法の施行日が令和7年12月1日とされたことで、実施時期によって新旧制度が混在する事態となっている。年末調整に新制度が反映されていないケースでは、確定申告により税金が還付される可能性がある。特に海外転勤や年途中退職者は要確認だ。


基礎控除見直し、年末調整に“反映されていない人”がいる

国税庁は、令和7年度税制改正による基礎控除の見直しなどに伴う7年分所得税の取扱いについて、確定申告に関する情報をホームページで公表した。

今回の改正では、基礎控除の見直しのほか、「給与所得控除」やひとり親控除の所得制限の緩和、いわゆる「特定親族特別控除」、扶養親族等の所得要件の改正が行われた。ただし、施行日は令和7年12月1日だったことから、“施行時期”が、実務上の注意する必要がある。

通常、給与所得者は年末調整によってその年の所得税が精算される。同7年12月1日以後に年末調整を受けた者については、改正後の基礎控除等が適用されているため、原則として確定申告は不要だが、問題は、改正前の制度に基づいて年末調整が行われているケースだ。こうした場合、改正後の控除が反映されていないため、本来より多く源泉徴収されている可能性がある。確定申告を行うことで、還付を受けられることがある。

<確定申告の要否>

海外転勤・死亡退職・休職者は要注意

国税庁が具体例として示しているのが、次のようなケース。

・7年の中途で海外の支店等への転勤により非居住者となった者

・7年中に死亡により退職した者

・休業や休職をし、7年末までに復職していない者

これらの者で同7年11月30日以前に居住者としてその年分の最後の給与の支払を受け、その際に年末調整を受けた場合、改正後の基礎控除等は適用されていない。というのも、施行日が12月1日であるため、11月30日以前に実施された年末調整は改正前の制度で処理されているからだ。

このようなケースでは、確定申告を行うことにより、改正後の基礎控除や給与所得控除等を適用した再計算が可能。その結果、源泉徴収された所得税の一部が還付される可能性がある。

特に海外転勤者は、出国時に年末調整が完結していることが多く、その後は日本で申告手続きをしないままになりがちである。今回の改正により、想定外の還付が生じるケースもあり得る。

年途中退職者も“申告しないと戻らない”

同7年の中途で退職し、同年中に再就職しなかった場合は、年末調整を受けていないため注意が必要だ。

年末調整を受けていない場合、そもそも改正後の控除等は適用されていない。確定申告を行うことで、改正後の基礎控除等を適用した上で税額を精算することになる。

その結果、納付すべき税額が生じる場合もあるが、源泉徴収額が多い場合には還付となる。

実務上、年途中退職者は「源泉徴収票を受け取ったが、そのままにしている」というケースが少なくない。今回の改正は、こうした層にとって“申告するか否か”で税額が変わる改正である。

公的年金受給者も対象になり得る

給与所得者だけではない。公的年金等の受給者についても、一定の収入金額の範囲内であれば、確定申告により源泉徴収された所得税が還付されることがある。

公的年金等については原則、源泉徴収が行われているが、各種控除の適用状況によっては税額が過大となる。今回の基礎控除等の見直しにより、還付対象が広がる可能性があるわけだ。

 特に、年金収入のみで確定申告不要制度を利用している者は、「自分は申告不要」と思い込みがちだが、改正に伴う控除の見直しが反映されていない場合、申告によって税金が戻るケースもある。

 今回の改正は、制度そのものよりも「施行時期」と「年末調整のタイミング」によるズレが実務的に誤りやすい。

 企業側としては、海外赴任者や年途中退職者に対し、「確定申告により還付を受けられる可能性がある」旨を情報提供することが望ましい。税理士にとっても、顧問先の役員・従業員の出国や退職の有無を確認し、還付漏れがないかをチェックする視点が重要となる。

確定申告は義務という側面が強調されがちだが、今回は“還付を受けるための手続き”としての意味合いが大きい改正となる。

令和7年分の所得税については、「年末調整を受けたから終わり」と考えるのは早計だ。施行日が12月1日であったことにより、制度改正と年末調整の実務処理の間にタイムラグが生じている。自らがどのタイミングで年末調整を受けたのか、改正後の控除が適用されているのかを確認することが必要だ。申告すれば戻る税金があるかもしれない。今回の改正は、そうした“見落とされがちな還付”に光を当てる一面もある。

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税界よもやま話

元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。