最終更新日:2021-03-26
会計事務所にとっての相続税申告ジネスはまだ草刈り場
- 2021/02/18
- 2021/03/26
新型コロナウイルス感染拡大の影響が日本経済に大きな影を落とし始めたが、この影響は会計事務所としても無視しておけない。こうした中、相続税申告ビジネスに関しては、この先も十分に伸びしろがあると関心が高まっている。
高齢者の割合増で今後も続く相続ブーム
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の人口に占める65歳以上の高齢者割合は、2025年には30%となり、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込まれている。(表)https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1211.html
そのため、今後も相続税申告ニーズはますます高まることが考えられる。
国税庁によると、2019年分(令和元年分)の相続税申告件数は11万5267件で、1人当たり被相続人の課税価格は1億3694万円となっている。
相続の税務調査は関与税理士が頼みの綱に
税理士が関与するのは、この相続税申告マーケットになるわけだが、相続専門の会計事務所が増えているものの、意外にもこのマーケットはまだ独占されていない。日本最大級の相続税申告件数を手掛ける税理士法人レガシィ(東京・千代田区)の2019年申告件数(ホームページ参考)を見てみると1660件、有料の相続コンサルティングが932件となっている。全相続税申告件数に占める割合においては、僅か1.4%に過ぎないのだ。
相続税の申告件数を1件でも増やせれば、事務量や難易度にもよるが、報酬を低く見積もっても法人1件の年間顧問料・決算申告報酬ぐらいにはなる。
また、相続税は申告業務だけでなく、申告から1年後に調査が行われ、非違件数割合が8割を超える。そのため、相続人としては、調査になれば関与税理士が頼みの綱になる。
調査の立ち合い経験によって対応に大きな差がでる
相続税マーケットは、税務申告だけに留まらず、調査対応や相続相談など、幅広くサービスを提供していける。国税OB税理士によると、「相続税の調査経験豊富な税理士なら、疑問があれば積極的に調査官に指摘をするが、多くの税理士が調査の立ち合い経験が少ないため、調査官の言いなりに進められるケースが多い」と指摘する。だからこそ相続税の調査対応は、「知識を付け、経験を積めば税理士にとって収益的にも重要なサービスになる」と指摘する。相続税マーケットは、まだまだ会計事務所にとって美味しいビジネスと言える。
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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。