最終更新日:2025-08-13

令和7年度税制改正 所得控除関係はこんなにもややこしくなった 税金の壁「103万円」➡「160万円」 で押さえておくべきポイント

  • 2025/08/08
  • 2025/08/13
令和7年度税制改正 所得控除関係はこんなにもややこしくなった 税金の壁「103万円」➡「160万円」 で押さえておくべきポイント

令和7年度税制改正では、「基礎控除」「給与所得控除」の最低保障額が引き上げられ、いわゆる“103万円の壁”が最大で160万円まで拡大されることとなりました。さらに、「特定親族特別控除」の新設をはじめとする見直しが行われ、税額計算や年末調整・源泉徴収実務に大きな影響を与えます。そこで、令和7年度税制改正のポイント及び実務対応を解説するとともに、KaikeBizLine 編集部では、丸善CHIホールディングスが手掛ける税務・会計関連書籍がオンラインで読み放題 「丸善リサーチ」の協力のもと、改正内容を網羅的に理解するための書籍を紹介します。


所得税の構造に影響する改正──「103万円の壁」はどう変わったか?

長年、“扶養の壁”として知られてきた「103万円の壁」。これは、基礎控除48万円+給与所得控除55万円の合計103万円までの給与収入であれば、所得税がかからないという考え方に基づいています。

令和7年度税制改正では、この控除金額がいずれも引き上げられました。その結果、年収160万円まで課税されないケースが生じることになり、就労調整の在り方や企業の人材活用にも影響を及ぼす可能性があります。

ただし、控除額は年収水準に応じて段階的に変化するため、「一律で非課税になる」という誤解に注意が必要です。自身や従業員の年収に応じた正確な制度理解が求められます。


新設された「特定親族特別控除」とは?

改正のもう一つの大きなポイントが、「特定親族特別控除」の新設です。

これは、大学生年代(19歳以上23歳未満)の扶養親族のうち、一定の所得要件を満たす者がいる場合に、所得控除を追加で適用できる新制度です。

ただし、対象となる親族の所得要件や、他の控除制度との併用関係、帳票類への記載方法など、実務上は判断や対応が複雑になる場面も多く、注意が必要です。


実務対応への影響──年末調整・源泉徴収の処理はどう変わる?

今回の改正は、単なる控除額の増減にとどまらず、源泉徴収・年末調整・確定申告など、所得税に関わる一連の事務処理全体に影響を及ぼします。

たとえば、以下のような処理が新たに求められます。

  • 控除対象者の判定基準の確認
  • 新旧制度の適用区分の整理
  • 合算の考え方と帳票類への反映

特に法定調書(源泉徴収票や給与支払報告書)などへの記載対応は、年末に向けて早期の準備が欠かせません。


書籍紹介

・『令和7年度税制改正 基礎控除・給与所得控除・特定親族特別控除等の実務』(日本法令) 出版日2025年7月

こうした改正の全体像を整理し、制度理解と実務処理の両面を網羅的に解説したのが、こちらの新刊書籍です(KaikeiBizlineの書籍案内とリンク連携)。

・『令和7年度 よくわかる税制改正と実務の徹底対策』(日本法令) 出版日 2025年2月

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元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。