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最終更新日:2021-03-26

東京・大阪国税局管内は現職職員とOB税理士の会食等禁止

  • 2021/02/18
  • 2021/03/26
東京・大阪国税局管内は現職職員とOB税理士の会食等禁止

今から10年以上前は、国税OB税理士の多くが、現職職員との太いパイプで仕事をすることが多かった。しかし、今や東京、大阪などの国税局では、国税OB税理士と現職職員との交流を厳しく管理している。「私的な飲み会もNG」という状況に、国税OB税理士の中からは、「やりすぎではないか」との声も聴かれる。

“禁止令”のきっかけとなったある事案とは?

国税OB税理士と現職国税職員との交流がほぼなくなったキッカケは、朝日新聞の2019年6月29日付けに「国税幹部4人を懲戒処分 OBから『陣中見舞い』の現金」という見出しが紙面を飾ってから。東京国税局は前日の25日、幹部職員を懲戒処分とすると発表。これを受けて、処分対象となった幹部が所属していた東京国税局などでは、OB税理士との接触を自粛する“お達し”が急きょ通達された。これで現職職員は、先輩である国税OB税理士との飲み会等が原則できなくなった。

 これまでも、国税OB税理士との飲み会などに当たっては、上長に対して「誰」と「どんな理由で会うのか」という申請書を事前に提出るなど一定の規制はかけていた。ところが、この事件以降は、仕事の時間外でもOB税理士との飲食は禁止。飲食が許されるのは税理士会などの会合で大勢の税理士が集まる場所だけとされた。

また、庁舎内(税務署など)の個室で会う場合は、1対1での面会は禁止。必ず他の職員が同席の上、扉は開けておき周囲の職員に不信感を抱かれないようにするとされている。

このほか、プライベートの時間を利用して、ゴルフや旅行などに一緒に行くことも自粛の対象とされ、お世話になった職場の上司ということで結婚式に招待するのもNG。結婚式の招待で許されるのは、現職職員とOB税理士が親族という場合だけとされた。

厳しくOB税理士との接触を禁止した理由

ここまで厳しくOB税理士との接触を禁止した理由は、2019年6月25日に行われた幹部職員4名の処分。この4名の幹部職員は、OB税理士から現金計12万円を受け取ったとされ、他に職員2名も同じOBから計約1万2千円分の飲食接待を受けたとして厳重注意となった。

東京国税局の説明では、4名は東京国税局管内の税務署で署長や副署長、総務課長の立場にあった2014年2月~17年2月、来署した先輩のOB税理士から「確定申告の陣中見舞い」として、1回あたり現金2万~3万円を受け取ったとされる。受け取った現金は、署内で食べる菓子購入などに使ったとしている。東京国税局の調査では、お金を受け取った職員は「いずれも、OBに便宜を図る行為などは確認されなかった」としているが「戒告処分」などの措置が取られた。

この通達で現職の職員よりも衝撃を受けたのが実はOB税理士。なぜなら、これまで税務上の微妙な取り扱いなどで疑問があれば、気兼ねなく後輩に問い合わせて確認することができたが、この通達を受けて、そうした確認が一切できなくなったからだ。

これまでも顧問先の税務処理で便宜を図ってもらうようなことはなかったが、先輩後輩の関係もあり、問い合わせなどはできていた。これが出来なくなったということは、OB税理士としては、これまでより一層、自身の知識力が問われることになったのだ。この事件をキッカケにOB税理士にとっては、これまで以上に厳しい時代になった。

東京・大阪国税局管内は現職職員とOB税理士の会食等禁止

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