最終更新日:2026-01-29

相続登記・住所変更登記の義務化と連動 2026年2月「所有不動産記録証明制度」創設へ

  • 2026/01/31
  • 2026/01/29
相続登記・住所変更登記の義務化と連動 2026年2月「所有不動産記録証明制度」創設へ

不動産の相続や管理を巡る環境が大きく変わる。政府は2026年(令和8年)2月2日から、特定の人物が所有する不動産を全国ベースで一覧化できる「所有不動産記録証明制度」を開始する。これまで登記情報は土地・建物ごとの管理が原則で、所有者名から網羅的に検索する仕組みは存在しなかった。2024年4月に相続登記が義務化され、さらに2026年4月からは住所・氏名変更登記も義務化される。不動産を「放置」できない時代が本格的に到来する。


所有者名から全国の不動産を検索

 親がどこに不動産を所有しているのか分からない――。相続の現場では長年、こうした声が後を絶たなかった。日本の登記制度は物件単位で管理されており、被相続人の氏名を入力すれば全国の不動産をまとめて把握できる仕組みがなかったためだ。その結果、相続登記の漏れが生じ、所有者不明土地の増加にもつながってきた。

所有不動産記録証明制度は、こうした構造的な課題を解消するために導入される。法務局が登記情報を横断的に検索し、特定の人物が所有権の登記名義人となっている不動産を抽出して一覧として証明する。対象は被相続人に限らず、生存している本人や法人も含まれる。

相続時の財産調査を大幅に効率化

制度の最大の意義は、相続手続きの初期段階で不動産の全体像を把握できる点にある。実家以外に所有していた地方の土地や、私道の持分、共有名義の不動産など、見落とされがちな資産を発見できる可能性が高まる。

該当する不動産が存在する場合はそのリストが交付され、存在しない場合には「該当なし」の証明書が発行される。相続人は、この証明書を基に相続登記や遺産分割協議を進めることができる。

請求できるのは所有者本人および相続人などの一般承継人に限られる。誰でも自由に検索できる制度ではなく、プライバシーに配慮した設計となっている。申請は全国の法務局窓口のほかオンラインでも行うことができ、実務上は司法書士などの専門家を通じた利用が想定される。

窓口請求の場合の手数料は1通1600円とされている。

制度を利用する際に注意すべき点は、検索の基準があくまで登記簿上の氏名・住所であることだ。被相続人が生前に転居していても、登記上の住所が旧住所のままであれば、現在の住所で請求しても不動産が抽出されない可能性がある。

つまり、登記情報が更新されていない不動産は、新制度を利用しても把握できないリスクが残る。

2026年4月から住所・氏名変更登記を義務化

この問題に対応するため、政府は2026年4月1日から、不動産所有者の住所や氏名に変更があった場合の変更登記を義務化する。変更があった日から2年以内に登記を行う必要があり、正当な理由なく怠った場合は5万円以下の過料が科される。

制度開始前の変更についても猶予措置が設けられ、2028年3月31日までに変更登記を済ませなければならない。

不動産を巡る義務化はこれだけではない。2024年4月からは相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記を行う必要がある。違反した場合は10万円以下の過料の対象となる。

今後は、相続登記と住所・氏名変更登記という二つの義務が並行して課されることになる。

所有者不明土地問題への対応が背景

こうした一連の制度改正の背景には、全国で拡大する所有者不明土地問題がある。所有者が分からない土地は、公共事業や災害復旧の妨げとなり、社会全体に大きなコストをもたらしている。

国は、不動産を必ず「誰のものか分かる状態」にすることを基本方針とし、登記制度の抜本的な見直しを進めている。

所有不動産記録証明制度は、相続人にとって有力な確認手段となる一方で、制度の効果を十分に活かすためには、日頃から登記情報を最新の状態に保つことが前提となる。

自身や家族の不動産について登記内容を確認し、必要があれば早めに変更登記や相続登記を行うことが、将来のトラブルと罰則リスクを回避する近道だ。

詳細は不動産の相続登記義務化!過去の相続分は?所有不動産を一覧的にリスト化する新制度も開始! | 政府広報オンライン

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元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。