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最終更新日:2022-12-06

保険管理から事業承継コンサルティングの道へ 会計事務所とのタイアップ事業で真の顧客サービスを実現

  • 2022/12/06
保険管理から事業承継コンサルティングの道へ 会計事務所とのタイアップ事業で真の顧客サービスを実現

会計事務所にとって事業承継や資産税関連サービスは顧客満足のためにも重要なテーマだが、日常の経理処理や税務が中心の事務所にとってはハードルの高いサービスでもある。

そんな中、スリーナインコンサルティング(株)は会計事務所とタイアップすることで事業承継コンサルティング環境を整備、中小企業、会計事務所、スリーナインコンサルティング3社によるWin-Winの関係構築を目指している。

この新規事業のアプローチには、中小企業経営者の保険管理が欠かせないという。同社代表で司法書士の青山誠社長と(株)growth代表で公認会計士の松本佑哉氏に対談してもらった。

スリーナインコンサルティング(株)代表取締役青山誠氏
インタビューアー:(株)growth代表、公認会計士の松本佑哉氏

スリーナインコンサルティング㈱の概要と設立経緯

松本 まずは、スリーナインコンサルティングの事業内容と今回の事業開始に至る経緯などを教えてください。

青山 司法書士として開業して23年になりますが、その中で感じたのは、お客様の要望を達成するためには全体を見る視野を持たねばならないということです。家族信託にも取り組みましたが、部分最適でしかなく、お客様の「うちはこれからどうしたら良いのでしょうか」といった問いに答えられない。

そこで、お客様に全体最適な話が出来るようになるためのコンサルティング会社を立ち上げました。「もの、金、情報、時間、人、心」のコンサルティング6要素を中心に、人生のプロになれたら良いと思っています。

会社は設立から7期目に入り、主に資産関連、なかでも事業承継の提案、プロ向けのコンサルティング支援などを行っています。

保険事業への関わり、会計事務所とのタイアップを考えたきっかけ

松本 御社が保険事業に関わった理由は?

青山 全体最適を実践する中で、保険は避けて通れません。ご存じのように事業承継において保険は納税資金の確保、節税効果、株式集中化資金確保、相続税対策などに不可欠ですし、資金繰りのための保険解約、契約貸付などもあり、保険がお客さんに役立つことを実感していました。保険は商品の回転も速く、常に税制改正が伴ってくるので大変ですが、全体最適実現のために取り組んでいます。

松本 御社は会計事務所とのネットワークを持っていらっしゃると聞いております。保険事業を展開する中で会計事務所とのタイアップをお考えになったのはなぜですか。

青山 保険会社との接点から、税理士団体や個人の会計事務所と接点がありました。その中で、会計事務所の方がどう保険に向き合っているかを知りました。税理士の多くは保険の経理処理が中心とはいえ、税制改正、バレンタインショック、ホワイトデーショックに代表される保険を取り巻く環境が大きく変わり、経理処理や解約返戻率のピーク時の管理に負担を感じ苦労されているのがわかりました。かつては保険料を全損出来たものが、新しい税制では4割損失、6割資産計上などの処理が必要になるなど、会計事務所の担当レベルでは管理が難しいのが現状です。できれば保険管理をアウトソーシングしたいとの要望が潜在的にあるのを知り、それなら我々が管理して差し上げようと思いました。 

一方、税務以外の業務、特に事業承継の提案などは不得意な会計事務所が多いと感じました。それならば、保険の管理業務を通して事業承継コンサルティングでタイアップすれば、お客様、会計事務所、それに弊社の3者にメリットがあると考えたのです。

松本 なるほど。実際に税理士さんから保険に関する相談がありますか。

青山 新税制になってから、「保険の管理や処理が担当者レベルでは無理でなんとかしたい」「保険会社と組んでいるが社長が勝手に入った保険まで管理できない」「管理して何か間違いがあったら損害賠償問題にも発展しかねいとの不安もあり、保険管理を全て任せたい」などの要望を頂いています。

松本 確かにそうですね。保険会社も他社の保険までは管理できませんし、保険会社の担当や会計事務所の担当が代わると分からなくなってしまう。結論として保険管理で会計事務所とタイアップし、御社の得意とする事業承継コンサルティングへと進めていくのですね。

青山 そうです。多くの会計事務所は相続税などの税務が得意でも、事業承継の提案は行っていないのが実状のようです。銀行から提案されても逆提案することができない。これでは会計事務所にとっても会社にとっても不幸です。事業承継には保険が不可欠ですから、保険管理を切り口にして事業承継コンサルティングに結び付けられれば、良い関係が作れると考えました。

松本 そこで凸版印刷のクラウド型保険契約情報管理システム「MyPare(マイペア)」を採用したのですね。

青山 そうです。会計事務所が「MyPare(マイペア)」を活用して会社の保険を管理できるようにサポートし、我々とタイアップして事業承継の提案を行い、実際のコンサルティングは我々が担当する。今まで多くは無料で行っていた事業承継の相談業務でも、ちゃんとした報酬を受け取れる仕組みが出来上がります。

クラウド型保険契約情報管理システム「MyPare」に着眼したポイント

松本 今回のタイアップ事業のツールとして「MyPare」を採用した経緯とポイントを教えてください。

青山 「MyPare」との接点はかなり前にありましたが、その時はあまり興味がありませんでした。しかし、保険に関連した税制改正があり、会計事務所の要望を聞く中で我々が会計事務所をサポートしていこうと考えた時に、改めて興味を持ったのです。料金体系も改訂され、クラウド化されたことで、どこからでも情報を見ることができ、使いやすさが格段に向上したことで、タイアップに最適なツールと考えて採用を決定しました。

松本 保険管理というニーズをビジネスチャンスだと捉え、会計事務所をサポートする会社として期待に応えなければという使命感で、保険管理について携わろうと思われたわけですね。「MyPare」の魅力として感じた最大のポイントは何でしょうか。

青山 「MyPare」は、保障内容を様々な観点から一覧化することができます。借入金に対する保障の確認や退職金に応じた解約返戻金のシミュレーション、払戻返戻金のピークなどが図表で視覚的に見せられる。我々は保険を売るための会社ではなく、事業承継・相続全般のプログラムを動かすために保険を見ており、視覚化はコンサルティングにとって重要なポイントでした。

会計事務所による「MyPare」の活用法

松本 会計事務所が「MyPare」を導入して実際にどのように活用すべきか、具体的に教えていただけますか。

青山 「MyPare」はお客様ごとに保険契約を一元管理でき、お客様と会計事務所がクラウドで情報共有することで、保険の経理処理が変わるタイミングを間違いなく管理できます。保険は管理が難しく、担当者育成も難しい。ましては節税効果が薄れて売りにくい、という会計事務所は多くあると思いますが、システムの採用でかなりの面が解決できると思っています。会計事務所担当者の研修もサポートしています。

松本 保険管理が出来るようになれば、次にどのような展開が考えられますか。

青山 顧問先の経営者と保険の話をすることは、事業承継・相続対策の話をするきっかけにもなります。そこから保険の検討にもなるでしょう。例えば、「あれ社長、こっちの保険では65歳で辞めることになって、でもこっちの保険は67歳だ」。この違いから「社長、いつ辞めるんだっけ」といった話に振ることもできます。そこから「じゃ社長。もうあと3年後に法人保険の返戻金のピークが来るから、今から事業承継をもう一度考え直そうよ」といった展開もできます。ここから事業承継コンサルティングを進めていただき、あとは我々がサポートしますので、会計事務所も事業承継対策の提案をし、コンサルティングの報酬を取って欲しいですね。会計事務所は事業承継の相談を無料でやっているケースが多いですが、「MyPare」を活用すれば報酬を取れる業務にできると思っています。

松本 「MyPare」によって社長と事業承継の話ができ、そこから今まで無報酬でやっていた相談業務を報酬が取れるものにできるということですね。その思いをもう少し語ってください。

青山 経理処理や税務に忙しく、資産・事業承継と聞くと敬遠してしまう会計事務所も数多いと聞いていますが、そうした機会を活かせないことはもったいないし、顧問先にとっても不幸なことだと思います。もっとメリットを活かしてもらいたい、そのために「MyPare」を使い、我々を活用して欲しいです。

松本 確かに、相続・事業承継対策のコンサルティングができる最適なポジションにいながら、それを活かせないのは寂しいですね。顧問先も本来は税理士さんにすべて任している認識でしょうから、その期待に応えるためにも積極的に取り組んでいただきたいですね。過去の話から未来の話へのシフトは、これから会計事務所が生き残る重要なテーマだと思います。電子決済やインボイス、企業間取引のデジタル化などがこれから一挙に進めば、より経営者と未来の話をしないといけなくなると思いますからね。

青山 おっしゃる通りですね。弊社を立ち上げた理由もまさにそこにあります。

今後の事業展開

松本 最後に今後の御社の事業を聞かせてください。

青山 今は「MyPare」のサポートで会計事務所との接点を作っていますが、コンサルティング会社としての弊社は、最終的には会計事務所として報酬が獲得できる状況を作ることがゴールです。そのためにはまず、会計事務所に「MyPare」を導入いただいて保険管理体制をとって頂けるお手伝いをし、保険管理を切り口にお客様に事業承継の話をしていただきたいと思っています。結果、事業承継コンサルの話にまで発展してきましたら、弊社がサポート役となり、会計事務所と我々でコンサルティング報酬はシェアする。

ぜひ、「MyPare」を導入して事業承継提案のきっかけにしていただけたら良いなと思います。

松本 ありがとうございました。

※問い合わせ先 : https://e-return.jp/
※インタビュー動画 : https://www.youtube.com/watch?v=_R5eHHxlOxQ&t=166s

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