業界のトレンドをつかむ「会計 ビズライン」

会計事務所博覧会

注目ワード

最終更新日:2021-03-26

「信託」ビジネスに新たなコンサルツール『信託の羅針盤:トラコム』が誕生!

  • 2020/10/09
  • 2021/03/26
「信託」ビジネスに新たなコンサルツール『信託の羅針盤:トラコム』が誕生!

「忙しい職員でも取り組める信託コンサルツールの活用を」石脇氏
「相続を視野に将来の資産管理ビジネスにも活路」嶋氏

民事信託に取り組む専門家が増加傾向にあるが、なかでも税理士は、顧問先とは信託前の段階から顧客の状況を中長期的に見通せる立場にあり、積極的に信託に関わることができる機会に恵まれている。しかし、いざ継続的な資産管理を行うとなると、有効なコンサルティングツールは極めて少ない。そうしたなか、民事信託コンサルティングに特化する(株)継志舎より、「信託の羅針盤(通称:トラコム)」が販売された。そこで、同社代表取締役の石脇俊司氏と、ライフプランニングの先駆者として知られる(株)ノースアイランド代表取締役の嶋敬介税理士に、民事信託マーケットや成功するための資産管理ビジネスについて語り合ってもらった。

(株)継志舎 代表取締役 石脇俊司氏
(株)ノースアイランド 代表取締役・税理士 嶋敬介氏

法人とオーナーの個人資産を踏まえ包括的な解決策を

―最近、金融機関の信託のCMが増えてきましたね。

石脇 はい。CMの影響やセミナーの開催により、民事信託を検討するお客様が増えてきていると感じています。信託を取り巻く業界では、最近、中途半端な知識のコンサルタントにも出会うことがあり、危機感を覚えます。

 そういう実務経験の乏しいコンサルタントも存在するようですね。でも、会計事務所はそんな中途半端なことはできません。クライアントの家族全員から信頼される存在でないと顧問契約も続けられませんから。

石脇 資産家や経営者からの相談に対しては、法人とオーナーの個人資産を踏まえ、包括的な解決策を提案する必要があります。しかし、会計事務所が継続的な資産管理を行うためのツールとなると、極めて少ないのが現状です。会計事務所側も、そもそも社長の年齢すら把握していないこともあったりして驚くことがあります。70歳を超える顧客であれば真っ先に高齢化のリスクへの対策を考えなくてはならないでしょう。 嶋 そうですね。申告に関係しない固定資産や保険の加入状況、健康状態なども本来は確認すべき事項ではないでしょうか。

―会計事務所では、相続対策と信託の活用をセットでの提案が必須でしょうか?

石脇 はい。会計事務所の顧客も当然に高齢化が進んでおり「認知症リスク」を真っ先に考えなくてはいけません。健康寿命を考えると、女性の平均寿命が87歳で、亡くなるまでの12年間の間は何かしらの健康上の課題を持つと言われ、男性もほぼ同様です。であれば、信託を遠巻きに眺めている状況ではなくなってきていると言えます。その先に必ず起こる相続は、会計事務所が中心になって関わることができますから、やはり信託を手掛けられたらいいのではないかと思います。また、民事信託の場合、財産を管理するのは子供たちです。民事信託を切り口にすれば必然的に子供たちと接点が持て、会計事務所は将来に向けて今から次世代とのコミュニケーションづくりができます。

 金融機関の信託も最近は進化してきています。チームでの提案力を高め、グループ内で活性化を図っています。会計事務所が信託でイニシアチブを発揮するためには、顧客への提案能力を高められるツールが必須でしょう。

石脇 そこで、そうした民事信託サポートのコンサルティングツール「トラコム」を開発したわけです。民事信託の提案から組成までを明解かつ簡単に取り組めるのが特徴です。顧客の資産管理と相続対策を一層強化したい会計事務所が、現在の顧客だけでなく次世代まで視野に入れ、長期に顧客の資産をグリップし続ける方法の一つとしての民事信託の活用をサポートするツールです。

 会計事務所が顧客に気づきを与え、問題点を見つけ出せば、コンサルティングに移りやすいですね。

会計事務所からの要望に応えたツール開発が原点

―忙しい会計事務所職員でも活用できるシステムなのでしょうか?

石脇 はい。開発においてその点を十分に検討しました。「どのような顧客に、どのように提案したらよいか?」「どのように信託を作っていけばよいか?」などがわからないので、なかなか信託に取組めないといった声を会計事務所から聞いておりましたので、それを解決するコンサルツールです。①民事信託が必要な顧客を簡単に抽出できるWEB診断、②顧客のニーズを喚起する事例などの説明動画と資料、③顧客のアンケート回答システムとその分析フィードバック、④顧客への提案資料とヒアリングシートの提供と提案前に職員と行う個別オンラインミーティング、⑤信託組成までの進捗管理システム、がパッケージされたコンサルツールです。また、当社が会計事務所をサポートしながら民事信託を組成する民事信託サポートサービス契約も、別途用意しております。

 まさに、“信託版FPツール”と言うべきもので、会計事務所が既存の顧客へのサービスの幅を拡げるという観点からも、このシステムは有効です。顧客とのコミュニケーションづくりに役立ち、担当者の能力アップが図れると同時に、情報をビジネスに結びつける格好のシステムにもなると思います。

石脇 とても良い評価をいただき、ありがとうございます。会計事務所にはぜひ、民事信託へのサポートを契機に、顧問先のライフプランや相続対策など横断的な提案に向け、このツールを活用していただきたいと思っています。

 毎年定期的に「資産管理を行いましょう」という提案を行うことで、相続準備へのアドバイスへの流れができたり、会計事務所の長期的な視点での資産管理ビジネスが構築できそうですね。

石脇 その通りで、資産の管理でしっかりフィーは取れると思います。民事信託のアドバイスをする上で、契約書の作成に関しては法律の専門家の方々の協力が必要ですが、お客さんに必要なものを作っていくためのコーディネートやプランニングに対してフィーは得られます。

「フローからストック」へと管理の視点広げビジネス拡大

―こういう仕組みをどのように税理士の先生方にアピールしていくのですか。

石脇 「トラコム」の良さを知ってもらうためにWEBやSNS、セミナー等でアピールしていく予定で、オンライン説明会も開催していきます。

 今後、企業オーナーが認知症の発症などで正常な判断や意思疎通ができなくなった場合を想定すると、信託は絶対に必要なことですし、それを周知・拡大していくことは社会的にも意義があります。

石脇 信託を含めた資産管理の相談を切り口に、当社の経験とノウハウが生かせる場を創り、会計事務所の資産管理ビジネスを手掛けるきっかけづくりをしていくことが、私どもの仕事だと思っています。

 会計事務所のサポートも、顧問先が正常な判断能力を失ってからでは遅すぎます。早めの手立てが必要です。

石脇 ところで嶋先生は早くからFPを切り口とした相続ビジネス専門ツール「TaxPad(タックスパッド)」を開発・提供されていますよね。

 はい。法人代表者個人の資産管理や相続対策に深く関わっていけるツールです。さらには身近な顧問先企業の従業員のライフプランにも携わることで、プラスアルファの相続ニーズが見込めます。このTaxPadを基に、さらに資産管理ビジネスVer.に進化させ、「トラコム」ともコラボしたものが「資産管理Navi」です。これを使ってフローからストックへと管理の視点を広げることは、ビジネスチャンスの拡大に必ずや寄与するもと確信しています。

石脇 民事信託の組成は検討すべきことが多いのですが、その課題を解決する民事信託の組成プロセスを「トラコム」で明確にすることで、多くの会計事務所に関与していただけたらと思っています。

略歴

株式会社継志舎 代表取締役
石脇俊司氏

CFP®、証券アナリスト協会検定会員、宅建士資格取得者。一般社団法人民事信託活用支援機構理事。外資系生命保険、国内外の金融機関、信託会社を経て、2016年継志舎を設立。著書に『税理士が提案できる家族信託 検討・設計・運営の基礎実務』(共著・税務経理協会)などがある。

嶋敬介氏
税理士・CFP®、(株)ノースアイランド代表取締役

税理士として活躍する傍ら「、独立系FP会社」を20代で設立。東京、大阪、米国を中心にサービスを展開する。金融、税務、信託、不動産等のコンサル支援ソリューションの開発にも注力しており、100社を超える金融機関が活用するコンサルツールは今春、特許を取得。トラコム」とコラボ予定の「資産管理Navi」は今秋リリース予定。

トラコム

「信託」ビジネスに新たなコンサルツール『信託の羅針盤:トラコム』が誕生!

「いいね!」をしよう