最終更新日:2026-01-19
2027年開始“こどもNISA” 年60万円・12歳から引き出せる?親が損しない使い方
- 2026/01/20
- 2026/01/19
令和8年度税制改正大綱で、NISAの口座開設年齢の下限が撤廃され、0〜17歳でも「つみたて投資枠」を使える枠組み(通称:こどもNISA)が2027年(令和9年)から始まる見通しだ。年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円。最大の特徴は、従来の未成年口座で壁だった「引き出せない問題」を見直し、12歳以降は“子の同意”を条件に親権者等による払出しを可能とした点。教育費が本格化する中学以降に、家計と資産運用をつなぐ選択肢が増える。
“ こどもNISA”は「未成年にも“つみたて枠”を開放」
今回の改正の核は「新制度を別建てで作る」というより、NISAの年齢下限を撤廃し、未成年の資産形成を制度側で受け止めることにある。若年層の長期・安定投資を後押しし、大学進学など成人後の資金に備える狙いが明記されている。
大綱には書かれていないことについて金融庁資料ベースに整理すると、押さえるべき数字は次の3つだ。
- 対象年齢 : 0〜17歳
- 年間投資枠 : 60万円(=月5万円)
- 非課税保有限度額 : 600万円
- 投資対象 : 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(=“つみたて枠”の世界)
つまり、個別株で勝負する制度ではない。「教育費×長期積立」の“王道”に寄せた設計だ。
<比較表>

「12歳から払出し可」ただし“子の同意”が条件
旧ジュニアNISAが使いにくかった最大要因は、資金拘束の強さだった。今回の資料では、「12歳以降、子の同意を得た場合にのみ、親権者等による払出しを可能」と明記されている。
さらに実務イメージとして、払出しの際は次の要件が示されている。
- 使途が“子のため”であること(教育資金等を想定)
- 子が払出しに同意したことを示す書面
- 親権者等(口座管理者)が申出書を金融機関に提出
ここで重要なのが、今後、金融機関の事務(書式・必要書類・頻度・一部払出しの扱いなど)が詰まる部分なので、開始前に必ず各社の運用を確認することだ。
こどもNISAは未成年名義の口座で運用するため、親や祖父母が資金を出すと、税務上は原則として「贈与」の論点が生じる。とはいえ、年間枠が60万円なので、暦年贈与の基礎控除(110万円)内に収まりやすいのが現実的メリットだ。
たとえば、毎月5万円(年60万円)を拠出して、他に贈与がなければ基礎控除内に収まりやすい。ただ、注意が必要なのが祖父母からの別贈与(入学祝い等)と合算すると、超えるケースがあることから、家族全体で“贈与の総額管理”が必要となる。
いつ積み立て、いつ使えるかと言えば、以下の通りだ。
0歳〜11歳(積立期)
→ 毎月5万円(年60万円)を積立(非課税枠600万円まで)
12歳〜17歳(教育費ピーク期に“選択肢”)
→ 払出ししたいときは、
「①子のための使途」+「②子の同意書面」+「③親権者等が金融機関に申出」
を満たす場合に限り払出し可
18歳〜(成人NISAで継続運用)
→ 成人後のライフイベント資金(進学・留学・初期費用など)に備える設計
「教育資金一括贈与」の駆け込みは“最後”になり得る
資産移転の大型策として知られる「教育資金の一括贈与の非課税措置」について、大綱では“信託等可能期間を延長せずに終了”としており、延長しない方針を示している。
今後は、多額資金を一度に移したい層は、こどもNISA(年60万円)とは別軸で検討が必要になる。
2027年から親がいまやるべき3つの準備としては以下の内容だ。
1. 月5万円を“固定費化”できるか(児童手当・教育費・住宅ローンと並べて家計設計)
2. 出口(使い道)を家族で合意(12歳で引き出すのか、18歳まで育てるのか)
3. 贈与の総額管理(祖父母支援がある家庭ほど“合算”に注意)
こどもNISAは「教育費のための投資」を現実に
こどもNISAは、未成年の資産形成を“空白”のままにしないだけでなく、教育費が重くなるタイミング(中学以降)と制度をつなぐ点で、家計実務に直撃する。年60万円・上限600万円という設計は派手ではないが、継続できれば効く。
2027年の開始までに、「積立の原資」「贈与の管理」「払出しの方針」を整えた家庭ほど、制度の恩恵を取り切れる。
令和8年度税制改正大綱(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf)
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