最終更新日:2022-11-23
与党税調 免税事業者がインボイス発行事業者になったら納税は売上の2割に
- 2022/11/23
2023年(令和5年)10月から開始されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)で、免税事業者であるフリーランス等の小規模事業者に対して、消費税の納税額を2割に抑える案が浮上している。与党税制調査会では、12月中にまとめる来年度税制改正大綱に盛り込む予定だ。
3年間の時限措置が濃厚
インボイス制度の円滑な導入に向け、与党税制調査会が小規模事業者向けに新たな特例措置を検討している。消費税の免税事業者であるフリーランス等の小規模事業者が、インボイスを発行できる適格請求書発行事業者登録した場合、納税額を売上時に受け取る消費税の2割に抑える案が浮上している。恒久的な措置ではなく、23年10月から3年間の時限措置とすることが有力だ。
自民、公明両党で議論して対応案を固め、12月中をめどにまとめる来年度税制改正大綱に明記する。
免税事業者とは、消費税の納税を免除されている事業者。以下の要件をクリアしてれば免税事業者となり、当てはまらなければ消費税を納める課税事業となる。
<要件>
・基準期間:前々年の課税売上高が1千万円以下
・特定期間:前年度開始日以後6カ月の課税売上高が1千万円以下(個人事業主の場合は前年1月から6月末まで)
また、資本金が1千万円未満の新設の法人は原則、2年間の納税が免除される。しかし、設立2年目に特定期間の売上高が1千万円を超えると、納税義務が生じる。
免税事業者には厳しいインボイス
インボイス制度がスタートすると、消費税の仕入税額控除を行うためには、適格請求書発行事業者が発行するインボイの保存が義務付けられる。免税事業者等の仕入れは、原則として仕入税額控除ができないため、適格請求書発行事業者登録していなかったら、取引先から取引自体を見直される可能性もあるわけだ。免税事業者にとってインボイス制度は、実質的な課税事業者への印籠になるのだ。
そこで、政府・与党としては、インボイス制度を円滑に導入するため、小規模事業者への救済措置を検討しており、新たに生じる税負担を軽減させる案が浮上したわけだ。
この特例措置が実施されたら、売上高800万円で全商品が消費税率10%なら、消費税の納税額は80万円。そのうち2割の16万円を納税することになる。
小規模事業者向けには他にも、1万円以下の少額取引に関してインボイスがなくても仕入税額控除を認める特例なども検討されている。インボイス制度のスタートまで1年を切ったが、小規模事業者向けの環境整備はこれから騒がしくなりそうだ。
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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。