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最終更新日:2021-03-07

会計事務所の人材採用 出戻り職員についての一考察

  • 2021/03/07
会計事務所の人材採用 出戻り職員についての一考察

この1~2年、会計事務所の所長と話をしていて、話題になるのが「職員が採用できない」ということ。都市部か地方かで、パート職員なのか、はたまた若手職員なのか、キャリアのある中堅職員が採用できないのかなどの違いはある。今回は、キャリアのある中堅職員の採用について、比較的多くの事務所で成功している話をしたい。

キャリアある中堅職員の効果的な採用方法とは

実はこの方法、採用の間口を広げ、ミスマッチが少なく、採用後の定着率が高いという、3拍子揃った採用方法だ。何かといえば、“出戻り職員”を認めるということ。

出戻りとは、一度退職した人が、他社での勤務や独立開業などの経験を経て、また以前の会計事務所に戻ってきて働くということ。これまで多くの事務所では、辞めることは裏切りに近く、「二度と顔を出すな」といいような状況だったが、最近は転職も当たり前の時代、他社で経験してきて、さらに、古巣に戻りたいというのであれば、これほど有り難いことはない。

会計事務所の所長が集った勉強会などでこの話をすると、「そういえば、うちにも一人居る」などという話となる。感想を聞いてみると、「いま職員のリーダー的な存在として頑張っている」「昔とは仕事に対する姿勢が違い、安心して任せられる」「戻ってきて数年になるが長続きしている」と、悪い話を聞かない。

なぜ、「出戻りをOK」を推奨するかといえば、出戻ってくるということは、今の段階では事務所に対して悪いイメージがなく、ある程度の覚悟を持って戻ってきたいと考えられるからだ。また、もと居た事務所なので、事務所のルールや仕事の仕方、方向性も理解しており、こうした"事務所に馴染む“期間がほとんどいらないスーパー即戦力という点も挙げられる。 出戻りOKという制度は、視野を広げてもらうという意味でもいい制度で、雇用する側としては、「数年、外で研修して戻ってきた」と考えれば、それほど気にするほどでもないだろう。というのも、根本的に問題のある人ならば採用しなければいいからだ。

変化の時代、フレシキブルな採用を

A事務所では、事務所(就業)規則として「出戻りOK」ということを記載しており、転職後、数年で戻ってくる人も少なくないと言う。また、B事務所では、事務所の記念行事を開催したとき、必ず元職員も声がけするとしており、元職員が、戻りたい意思を持っていれば積極的に受け入れるようにしている。「スキルアップし、自分の事務所に魅力を感じてくれたのなら、ミスマッチも少なく、出戻りを許してくれたとの期待に応えたいと積極的に働いてくれる」とその理由を話す。そのため、定期的にこうした事務所のイベントを開催し、昔働いていた元職員との接点を持つようにしているというのだ。

現在は、変化の時代。転職を否定することも出来ないわけで、中途採用するにしても、どこかで働いていた人を採用するだけだ。それが、以前勤めていた先が自分の事務所だったかどうかとの違いだけで、採用間口を狭めてしまうのはもったいない。悪いイメージがあったら再就職したいとは思わないし、再就職を認めてくれた所長の期待に応えたいと、おそらく長く働いてくれる可能性が以前よりぐっと高まるに違いない。

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