最終更新日:2021-04-13
「会計業界における女性戦力の積極的な活用の場に育てたい」
- 2014/04/01
- 2021/04/13
JP女性会計人フォーラム 代表 友野由希子税理士
JP女性会計人フォーラム 事務局長 松本枝里子
「資産税ビジネスを切り口に女性パワーを発揮」友野代表
「事務所経営に活かせる実践的な活動を」松本事務局長
女性会計人の資質を事務所経営の発展に活かすステージ創りをコンセプトとした「JP女性会計人フォーラム」が、この4月から始動した。会計事務所を母体とした共同経営スタイルの総合コンサルティング組織「JPコンサルタンツ・グループ」(本部、東京・千代田区)が活動の一環として打ち出した新たな取り組みは、おりしも女性のいっそうの社会進出をサポートする国の施策が次々に打ち出されるタイミングと合致しており、その活動内容に熱い視線が注がれている。そこで、友野由希子代表と松本枝里子事務局長に今後の展開について聞いてみた。
最近、女性の社会進出が各方面で話題になっていますが、まずは、組織立ち上げの出発点からお話しください。
友野 以前から女性だけの会計事務所を創りたい、という願望はありました。アベノミクスの3本の矢の一つ、「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」が平成25年6月に閣議決定され、そこでは女性の活躍推進が成長戦略の中核であるとして、具体的な提言が盛り込まれています。つまり、女性の活躍を推進する施策が、国の成長戦略を実現するうえで極めて重要であるとの認識が示されたわけです。この戦略で謳われている女性管理職増強目標など、社会的なトレンドの流れを会計人としてどう捉えていけばいいのだろうか、と考えると、単独の事務所形態ではなくもっと幅広い活動を行うためにも、女性だけの組織が必要です。それが発足のきっかけとなりました。会計業界内でも、女性税理士の登録数が平成24年度末には1万人を突破し、女性の進出が目立ってきました。また、関与先指導の側面においても、女性の活躍による視点の広がりは、企業価値の創造を高めると期待されています。今後の会計業界において、社会・経済の動きに呼応した女性戦力の積極的活用は避けては通れない課題であり、時流にのるのは“今しかない!”と、この会を立ち上げました。
確かに、業界内でも女性パワーを発揮できる場はごく限られています。
友野 女性会計人ならではの資質を活かす仕組みづくりの場、というのが発足の趣旨にあります。かつて流行語大賞に選ばれた「女子力」に喩えれば、事務所経営を「攻め」と「守り」の両面から捉えて、経営の安定化と繁栄に寄与できる仕組みを“女性の視点”で創り上げていきたい。それには事務所間でのノウハウの共有化と研究研鑽、会員相互の信頼関係を築くことが必要で、フォーラムはそうした交流会の場として位置付けて、様々な活動を展開していこうと思っています。とくに、「攻め」となる営業面の開拓においては、富裕層を対象とする資産税ビジネスの案件開拓を積極的に手掛けて、需要喚起とニーズの掘り起こしに取り組みます。また、「守り」の面では、少子高齢化のわが国での女性の再就職・再雇用等による社会進出、それに伴って発生する様々な労働環境がクローズアップされる中、女性の能力が活かせて働きやすい環境の整備について、社会保険労務士や弁護士らとも連携して会計人の立場で改善・提案し、経理分野だけでない女性の戦力化をサポートできたらいいなと考えています。
単なる親睦組織ではなく、事務所経営に活かせる会活動が目的ですね。
友野 代表職のお話があった際には、本当に務まるかとは思いましたが、JPグループに貢献することで発展・繁栄のお手伝いが出来ればと思い、中井美恵子副代表(横浜市)と共に大役を引き受けました。近年、女性の起業家が増え、事業内容も多岐に渡ります。そうしたときに、同性の専門家のアドバイスを求める需要は確実に増えてきており、相談業務を中心にますます女性会計人の活躍する機会は拡がってきたと実感しています。
松本 確かに親睦も必要かとは思いますが、それ以上に事務所経営を考えて、ビジネスを視野に入れた実践的な活動を目指して行こうと考えました。まずはJPコンサルタンツ・グループのメンバー有志、30会計事務所が核となりますが、将来的には全国100会計事務所の組織化を目標にしていきたいですね。
具体的な営業活動については。
友野 中心となる資産税ビジネスの推進で、「JP女性会計人コンサルティングサロン」(仮称)を立ち上げ、不動産所有者・個人資産家・オーナー経営者・病医院経営者・独立開業者等を対象に、相続・事業承継、不動産活用、保険活用などに関する相談案件の受け皿を設置していきます。センター機能を果たす東京本部のほか、全国6拠点のネットワーク化を推進させ、お客様にとって有効なアドバイスや提案業務を行っていきます。それを実現させる手法として、ホームページは欠かせないことから、相続贈与・事業承継対策などに関するQ&Aおよび事例集といった情報コンテンツを掲載するWEBサイトをスタートさせて、営業面のフォローをしていく構想があります。
なるほど。資産税ビジネスは今や女性会計人が活躍できるフィールドになってきたという感があります。
友野 相続の相談は、財産だけでなく家族間のトラブルなど、プライベートな相談に及ぶことも多々あります。同じ女性という立場だからこそ理解が求められることもあり、安心して相談できる場を提供したいという思いは以前からありました。女性ならではのきめ細やかな対応で、円満相続を実現していく。納税対策や財産の保全といった側面だけでなく、企業経営をトータルに見た場合、女性会計人への相談ニーズが急速に高まっており、これに応える体制づくりが急務です。金融機関への相続関連の業務支援ツールの配布、小冊子の発刊、セミナー講師の受注など、女性会計人の強みを活かせる営業展開がしやすい土壌が生まれているのは、まさにチャンスでもあるわけです。
そうした営業戦略のほか、どんな研究会活動を考えていますか。
松本(写真右) 運営事務局としては、事務所経営全般に関する研究活動を充実させていこうと考えています。例えば、人事労務、新規事業、営業戦略、広報活動、社会貢献、FP業務などのテーマを持ちより、ノウハウ公開や成功事例等をお互いにシェアすることで事務所経営に役立ててもらいたいと。もちろん、会計事務所の女性スタッフが、活躍しやすい環境づくりのサポートは、重要なポイントに違いありません。
今後の抱負については。
友野 立ち上がったばかりの組織なので、まずは強固な受け皿づくりを最優先に、活動の柱を固めていきたいですね。当面は、資産税ビジネスの展開が中心になりますが、関連するノウハウや指導については、なるべくオープンにする方向でいます。資産税を手掛けたことがない女性会計人にとっても、会活動で得られるメリットは少なくありません。情熱のある方々に、ぜひ参加して欲しい。フォーラムのコンセプトに賛同いただける女性会計人を全国から集い、メンバーと共に新しい時代の事務所発展戦略を描き、会計業界における女性戦力の積極的な活用に取り組んでいく。一つ一つ着実に成功の土台を積み上げていきたいですね。
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クローズアップインタビュー
会計業界をはじめ関連する企業や団体などのキーマンを取材し、インタビュー形式で紹介します。
税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。