最終更新日:2023-04-10
国税局がトレカ転売の無申告を摘発 追徴税額はなんと1900万円 確定申告の義務を「知らなかった」
- 2023/04/09
- 2023/04/10
一部報道によると、大阪国税局はこのほど、トレーディングカード(トレカ)を転売していた神戸市の男性3人と会社1社に対して、計約1億円の申告漏れを指摘していたという。神戸市の男性3人は無申告だった。国税当局では、重点的に取り組んでいる業務として、無申告とシェアリングエコノミー等新分野の経済活動への対応を挙げている。まさに、「飛んで火に居る夏の虫」となったわけだ。
まさに投資商品の一つに
ネットでさまざまな取引が行われる昨今、「遊戯王」などのトレーディングカード(トレカ)を転売し、多額の利益を得る若者も増えているという。希少価値のある「レアカード」は、1枚が数千万円で売買されることもあり、市場規模が近年拡大しているらしい。筆者もWebサイトで検索してみたが、レアカード2枚で4千万円が「売り切れました」との案内が記載されていた。一番びっくりしたのが、ヤフーオークションに一度だけ「遊戯王DMデュエルモンスターズ(全国大会トーナメント優勝賞品)」というカードが、なんと9億9,800万円で出品されたことがあったそうだ。落札まではいかず本物かどうかは定かではないが、市場では高級車が購入できる値段で取引されているカードもあるのだ。ここまでくると、子どもの遊びではなく、投資商品の一つと言ってよい。
それだけに、国税当局も取引には神経をとがらせており、「無申告は絶対許されない」との姿勢を崩していない。
確定申告のやり方が分からなかった!?
報道によるよ、神戸市に住む20歳代の男性3人は17~21年、インターネットサイトや中古品販売店で購入したトレカをネットなどで転売。利益を得ていたが、確定申告はせず計約8千万円の申告漏れが指摘され、無申告加算税を含む計約1,900万円の追徴課税を受けている。なんとも言い難いのが、3人は税務調査に対して「申告方法がわからなかった」などと説明しているらしい。
ネットで検索すれば、国税庁の確定申告専用サイトから、e-Taxで必要事項を入力していけば出来てしまう時代。そもそも「個人間の取引なので、無申告でも税務当局には分からない」と思っていたのだろうが、世間はそう甘くない。国税当局では、こういったネット上の取引には厳しい目を向けている。
税務当局は専門職員がネット取引を日々チェック
近年、インターネット上のプラットフォームを介して行うシェアリングエコノミー等の経済活動については資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施している。
令和3事務年度(令和3s年7月~4年6月)においては、839 件(前事務年度 639 件)実地調査(特別・一般)を実施。1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,382 万円(同 1,478 万円)で、申告漏れ所得金額の総額は116 億円(同 94 億円)にも上っている。そして、1件当たりの追徴税額は266 万円(同 300 万円)となっており、追徴税額の総額は 22 億円(同 19 億円)にも上っている。
税務当局では、専門部署の職員が、インターネットサイトで誰が何時、何を販売していたのかなどを調べ上げている。そして、ある程度収入があると見込まれるにもかかわらず、確定申告をしていなければ、「怪しい」と調査対象に選定される。日本のサラリーマンは年末調整などがあることで“税金”に対する意識が低いと言われる。若者も“税”について学ぶ機会が少ないことから、自ら「納める」ではなく、国に「取られる」的な意識でいる人が多い。経済活動と“税”は切っても切り離せないだけに、経済活動をするのであれば税金に対して意識を高め、適正申告が出来るように心がけたい。
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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。