最終更新日:2022-04-05
役員報酬の見直しを求められたらどうしたらよいか?
- 2022/03/03
- 2022/04/05
監修者
徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
コロナ特別融資資金も残り少なくなり、今後の事業継続に不安を抱えている経営者も多いと思います。まずはお金の出血を止めるために「リスケジュール以下リスケ)」の手法を選択する方も多いと思いますが、その際に「経営改善計画書」を金融機関に提出することになります。
経営改善計画書を提出した後に、金融機関の担当者から「役員報酬を減らしなさい」と言われた経験がある方はかなり多いと思います。
今回は「役員報酬の見直し」を求められた際に、どのように対応したらよいのか?についてお話しします。
役員報酬の削減が意味するものは「経営責任」のケジメ
まずは金融機関がなぜ役員報酬の削減を求めてくるのか?についてですが、理由は大きくふたつあります。
➀赤字経営・資金繰り困窮の責任は経営陣にあることからその責任を明確化させる
リスケジュールを金融機関にお願いする以上、企業も血を流す必要があります。
そのためにはまずは経営陣が「ケジメ」をつける必要があります。
➁経営改善で効果が出るのは「コストカット」であり、中でも「人件費」の削減はすぐに数字でわかる
銀行員はすぐに「コストカット」を求めてきますが、ある意味正論ではありますが、コストカットの中でも「人件費」の削減はすぐに数字で効果が表れることから言いやすいポイントになります。 ただし、➀の場合、自分の役員報酬には手を付けず、社員給与の削減から手を付けるのは本質ではありませんのでご注意ください。大事な社員の前にまずは自分からです。
経営者の生活が送れなければ経営改善どころではない
しかし、経営者にも生活があり家族があります。自身の役員報酬を生活が厳しいレベルまで減らす必要はなく、リスケ前から過大な報酬を得ていない場合は、無理に削減する必要はありません。
私のクライアントでも、「リスケ=役員報酬削減」としていない先も多数あります。その際に、金融機関に理解を得てもらうためには下記の点を説明すれば大丈夫です。
〇生活維持に必要な額を説明する
〇お子さんの学費や進学に必要なお金があればそれも説明する
〇経営者個人の借入返済も考慮してもらう。(カードローンや知人からの借り入れも)
金融機関も「役員報酬を下げろ」といいつつ、「ではいくらまで下げたら納得しますか?」と聞き返すと答えに窮してしまうのがほとんどです。
金融機関には具体的な数字はないのです。(だから精神的な理由で経営責任と言ってまずが…)
きちんと生活維持に必要な金額をこちらから申し出れば、全て金融機関の言いなりになることもありませんので、現在の役員報酬の金額に根拠をもたせることをお勧めします。
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