最終更新日:2021-05-21
「暫定リスケ」という言葉を聞いたことありますか?
- 2021/05/14
- 2021/05/21

監修者

徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
上場企業の4月~6月の四半期決算の発表が相次いでおります。
軒並み前年より3割近い売り上げダウン(もちろん業種によっては9割ダウンも)となっており、7月に入ってからは6月の回復基調が崩れ始めているようです。
興味深かったのが今期の着地予想が発表できない企業がまだ3割ほどいることです。
皆さんの顧問先でも金融機関から今期予想を求めれている先が多いと思いますがどうしてますか?
私は「今期予想は年末までいかないと見えない」とハッキリ言ってます。
年末で予想が見えると断言はできませんが、少なくとも現時点では予想できないのが本音だと思います。
焦って空論の数字を出しても意味がありません。
今は既存のビジネスモデルの見直しと、周りの状況をよく観察する時間に充てていくことが遠回りのようで経営改善の近道ではないかなと思ってます。
リスケジュールを申し込んだ際に、取引金融機関の担当者から「ではいったん暫定リスケとして〇ヶ月間リスケ対応します」と言われたことありますか?
「暫定リスケ」って何??と思われる方も多いと思いますし、「暫定リスケ」の言葉の意味を教えて欲しいとの質問も多いので、今回は「暫定リスケ」についてお話をします。
「暫定リスケ」とは「正式リスケ」への助走期間です。
「暫定リスケ」とは金融業界に正式にある言葉ではないようです。
(私が銀行員の時代にはありませんでした。)
「暫定リスケ」の単語が出始めたのは、2007年に「金融円滑化法」がスタートしてからだと思います。
円滑化法が施行されてからは、リスケの申し出をする際に、「経営改善計画書」の提出が申し出と同時ではなくてもリスケを受け付けるルールがありました。
ただし、金融機関がその申し出企業が「1年以内に経営改善計画書をする」と認めた場合の条件付きです。
とはいえ、中小零細・個人事業の方が一人で「経営改善計画書」を作成するのは1年以内とは困難な状態であったのです。
つまり、「経営改善計画書」が提出されるまでの間は「暫定リスケ期間」としてとりあえず、「仮リスケ」の対応とし、「経営改善計画書」が提出されて、その計画書を金融機関が承認してから初めて、「正式リスケ」になる流れです。
「経営改善計画書」がないと「不良債権」になってしまう可能性がある
金融検査マニュアルは廃止になりましたが、リスケをした企業は私が銀行員の時代にはランク付けが「要管理先」となり、実質「不良債権」の扱いとなってしまってました。
しかし、前述の「金融円滑化法」が施行されてからは、リスケ先でも「経営改善計画書」があれば、「要注意先」に留めることが可能になり、不良債権までランクダウンしなくて済んだのです。
ご承知の通り、円滑化法は既に終わり、金融検査マニュアルも廃止となりましたが、この考え方は基本的には今も引き継がれており、「経営改善計画書」の存在は金融機関にとっても意味あるものなのです。
ただし、「経営改善計画書」の中身も「とりあえず出せばいい」ではなく、きちんと努力可能な数値目標が立てられているか?などチェック項目が多くあります。
また、取引金融機関の言いなりになった数字で、とてもこんな目標無理でしょ!といった数値計画を立てているケースも散見されます。
リスケ後の自分の首を絞めないためにも達成可能な数値設定が重要になってきます。

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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。




