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最終更新日:2021-05-20

「ABL融資」の提案が増加することが予想されます!

  • 2021/05/15
  • 2021/05/20
「ABL融資」の提案が増加することが予想されます!

監修者

徳永 貴則

徳永 貴則

(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰

大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。

先日の日経新聞にて「花王が徹する2つの数字」の見出し記事がありました。

が、本日はそのうちの「1つの数字」をご紹介します。

コロナ禍では「7割経済」と言われております。そうするとコロナ前の売上を「10」とすると、「7割に「1.5」の数字をかけないと10にならない」のです。

ただし、コロナ前の1.5倍の「人件費」「時間」「コスト」をかける余裕もなく、まさに「生産性の向上・アイデアの創出」にて「1.5」を捻出しなければなりません。

デジタルトランスフォーメーション(DX)にて無駄な仕事をそぎ落とし、新常態のサービスを生み出すことで、「1.5」の価値を捻出していくのです。

接客が難しい中で、いかにデジタルを駆使した新商品・新サービスを生み出すか?

この答えを導けた企業こそが、コロナ禍で生き残る!ことになります。

これは私達にも同様のことが言えます。

今までの同じサービスでは間違いなく取り残され淘汰されるでしょう。

この「1.5」の数字皆さんはどのような「解」を見出しますか?


コロナ禍で企業の業績が大きく下振れするなかで、企業としては「資金調達が何より優先」になっていると思います。

業績下振れにより、損益が赤字に陥っている企業も続出していることもあり、コロナ特別融資だけでは資金手当てが足りない可能性もあります。

今回は、そういう状況下で、金融機関から「ABL融資」の提案が増えてくるとの予想のお話をさせて頂きます。

ABL融資については過去のバックナンバー記事もご参考にしてください。

〇ABL融資とは何かご存知ですか?(その1)

https://financial-advise.net/info/ba2017030101.html

〇ABL融資とは何かご存知ですか?(その2)

https://financial-advise.net/info/ba2017050101.html

ABL融資は財務内容が弱い企業にこそ提案されるもの

ABL融資とは不動産等の「固定資産」を担保にするではなく、売掛金や在庫、機械等の「流動資産」や「動産」を担保とし融資を行うスキームです。

通常期で企業の業績が安定していれば、何も担保を提供することなく無担保にて融資を受けられるのです。

しかし、赤字が続いている、純資産がマイナスに近い企業になると無担保での融資が難しくなり、企業としても資金調達をどうしてもやりたいことから、売掛金や在庫を担保にしてまで融資を受ける・・これが「ABL融資」の背景になります。

つまり、コロナ禍の状況になると、無担保での融資が難しい企業が多くなることが予想され、金融機関としても「ABL提案を行ってくる」はずなのです。

ABL融資を受けるぐらいなら「リスケ」するべきでは

以前にもお話ししましたが、私個人的には「ABL融資」反対派です。

大きな理由としては、「売掛金」「在庫」は企業の最後の生命線だからです。

万が一、破産申し立てをする事態になり、弁護士費用や裁判所費用が手元にない場合、近い将来の売掛金回収代金や在庫換金等で工面できるケースがあるのです。

売掛金や在庫を担保に出してしまうと、最後の生命線を金融機関に握られてしまい、資金工面が全くできなくなる可能性もあるのです。

そこまでのリスクを犯してABL融資をするぐらいなら、既存借入金のリスケジュールを行い、抜本的な事業改善を行うほうがはるかに健全だと思います。

もちろんリスケをすれば、原則的に新たな借入ができないデメリットはあるものの、上述したようにABL融資の提案を受ける企業は既に新たな借入が難しいに等しい状況なので、リスケをすることと同等の状況にあるとも言えます。

今後、金融機関からABL融資の提案が来た場合には、メリット・デメリットをよくよく考えた上で検討してください。

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