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最終更新日:2021-04-11

税務関係書類の押印が不要 複数人の相続人がいる場合は注意

  • 2021/04/11
税務関係書類の押印が不要 複数人の相続人がいる場合は注意

令和3年4月1日から、税務関係書類の押印義務が原則廃止となった。ただし、各税目の納税猶予制度による書類や相続税申告書添付書類の遺産分割協議書などの実印や印鑑証明書が必要な書類は、引続き押印が必要。押印が不要となった税務書類へ任意で押印することは問題ないが、押印の有無による効力には何ら影響しない。

税制改正で押印義務が原則廃止

令和3年度税制改正を受けて、原則、税務関係書類の押印義務がなくなった。国税庁では令和2年12月21日付けで、「施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする」と公表。2月16日からの確定申告に際しても、税務関係書類に税理士の押印を不要とするアナウンスをしてきた。

国税関係の書類は、国税通則法124条2項及びその他の税法により、税務署への提出時等で押印が規定されてきた。国税通則法124条2項には、「税務書類(国税に関する申告書、申請書、届出書、調書その他の書類)を提出する者が、(1)法人である場合は、その法人の代表者、(2)納税管理人又は代理人の場合は、その納税管理人又は代理人、(3)不服申立人が総代を通じて提出する場合は、その総代、4)それ以外の場合は、税務書類を提出する者が押印しなければならない」とある。

これが令和3年度税制改正で見直され、原則的に押印義務がなくなった。そのため、確定申告書や法人税申告書、消費税申告書や相続税申告書はもとより、設立届出書などの各種届出書に押印する必要がない。住民税、事業税、事業所税などの地方税も同様だ。

印鑑証明書の添付求める書類は適用外

ただ、印鑑証明書の添付を求めるような書類に関しては、まだ実印が必要。そのため以下の税務関係書類は例外とされる。

  1. 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類。
  2. 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類。

(注) 国税犯則調査手続における質問調書等への押印については、刑事訴訟手続に準じた取扱いとする。

<押印が不要となる書類>

  • 確定申告書
  • 修正申告書
  • 更正の請求書
  • 年末調整の書類
  • 国税、地方税の届出書、申請書
  • 延納申請書
  • 物納申請書

<押印が必要>

  1. 相続税、贈与税申告書に添付する遺産分割協議書など
  2. 担保提供関係書類や物納手続き関係書類のうち、実印の押印および印鑑証明書の添付を求めている書類

相続税申告では注意が必要

複数の相続人や受遺者がいる場合は注意が必要だ。

相続税の申告に際しては、相続人が複数人いた場合でも、提出する申告書は原則として1つ。申告書には、共同相続人全員が押印して提出していたが、相続人間で遺産分割をめぐって揉めているなど、共同で提出することが難しいときは、一部の相続人のみだけでの単独申告が認められてきた。

ただ、相続税の計算では、被相続人の遺産総額から税額を算出。相続税の総額を各相続人の取得割合に応じて按分し、各相続人が納税することになっている。そのため、一部の相続人が申告するときでも、共同申告しない他の相続人の取得財産・相続税額を申告書第1表に記載していた。この場合、実際に申告する相続人だけが押印をし、共同申告しない相続人については押印をせずに提出する、というのが実務上の運用だった。

改正後はそもそも申告書への押印が不要となるため、別々に申告する場合はどうするのかという問題が実務家の間では注目されてきた。

これについて国税庁では、別々に申告を行う場合は、第1表にすべての相続人等に係る合計額を記載することから、複数の相続人等がいる場合に相続税の申告書へ押印をしないときの申告書第1表及び第1表(続)の記載については、

  1. 共同して提出する方のみを記載 ⇒共同で申告する相続人のみを申告書第1表へ記載する。
  2. 共同して申告書を提出しない方の氏名及び金額を斜線等で抹消する等して、申告書の提出意思の有無を明らかにする。 ⇒いったん相続人全員分を申告書第1表へ記載し、そのうち共同で申告しない相続人の欄を斜線で消す。

のどちらか対応しなくてはならないとしている。

(2)ついては、従来は「押印しない」ことで、共同提出の意思がないことを明らかにしていたが、押印義務廃止後は斜線等で抹消することで提出意思のないことを明示することになった。

ただし、e-Taxによる相続税の申告については、複数の相続人等の申告を税理士等がまとめて代理送信する場合においては、上記のように共同して申告書を提出するか否かの明示を別途行う必要はない。

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