最終更新日:2021-05-21
民法大改正により保証人の取り扱いが大きく変わります!(その①)
- 2021/05/15
- 2021/05/21
監修者
徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
先月からコロナ対策緊急融資の問い合わせがかなり多くなっており、皆様も顧問先への対応で多忙な時期だと思います。
日本政策金融公庫、保証協会の緊急制度については、皆さん既にご承知おきのことだと思いますが、民間銀行でも独自のコロナ対策の融資制度を実施しております。
メガバンクでは三菱東京UFJ、りそな、みずほ、三井住友がプロパーでの支援(コロナ特別融資の創設)を既に始めております。
また、地銀でもきらぼし銀行も独自プロパーでの支援を行っております。
(三菱では口座取引をAIで診断するタイプもあり、決算書は不要です)
期間は「6か月」~「3年」ほどと国の制度よりは短期になりますが、「プロパー」で支援することに意味があると思っております。
また三井住友では、リスケの際にかかる「条件変更手数料」を無料にするなどの支援策も公表しております。
コロナ対策=「公庫」「保証協会」の画一的な見方ではなく、顧問先にとって何が一番いい選択なのか?を考える意味でも情報アンテナを高くしてもらえればと思います。
民間銀行からの「無利息融資制度」も近く発表されるかもです。
また「お金を借りられて良かった」ではありませんよ!
そのお金を「生き金」にすることこそ、私を含め皆さんの仕事です!
本日より改正民法(債権法)が施行されました。
約120年ぶりの大改正になりましたが、今回は借り入れに際しての「連帯保証人」の取り扱いの改正についてお話をさせて頂きます。
「二重保証」「第三保証人」が原則禁止になる!
以前からこちらのブログでもお話ししておりましたが、事業承継に際して「旧・新経営者」がともに保証人となる「二重保証」が原則禁止となります。ただし、二重保証についてはH27年に公表された「経営者保証ガイドライン」に特則がつく形となります。
つまり、事業承継を行う企業については、「旧経営者」「新経営者」のどちらか一方しか保証人を求められないことになります。(もちろん、両者ともに保証人とならない「完全無保証人」の形が望ましいのは言うまでもありません)
原則とあるが・・「二重保証」が発生する事例としては
〇旧経営者が死亡し、相続確定までの間に旧経営者の保証を解除せずに、新経営者の保証を求める場合で「一時的に二重保証」となるケース(相続手続き完了後に旧経営者の保証は解除)
〇法人から前経営者に対して「多額の貸付金等」の債権があり、当該債権が返済されない場合、法人の財務基盤が棄損され、新経営者が旧経営者の保証解除を求めない場合
〇リスケジュール(返済条件の変更)を実施している先
〇法人から旧経営者のみならず新経営者にも「多額の貸付金等」がある場合
が挙げられています。
以前にもお話ししましたが、「経営者保証ガイドライン」では「法人・個人の資産・経理の明確な区分・分離」が必要条件として明記されています。
たとえば
〇社長個人へ貸付金がある
〇領収書がなくて「使途不明金」として「仮払金」「立替金」「貸付金」にて処理されている
〇個人的な飲食などが「交際費」として処理されている
〇事業用資産が法人所有ではなく個人所有になっている
このようなケースは「明確な区分・分離」ができていないと判断されますので注意が必要です。
とはいえ、過去に発生したものはやむを得ないとして、いかにそのお金を処理していくかの姿勢と実績を見せることができれば検討のテーブルにはのりますので、顧問税理士や弊社にご相談してみることをお勧めします。
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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。