最終更新日:2023-01-31
融資の現場から 新たな制度融資「コロナ借換保証制度融資」はどう使うのかいいのか?
- 2023/01/31
監修者
徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
政府の補正予算成立により、2023年1月10日から新たな制度融資「コロナ借換え制度」がスタートしています。この制度の概要及びどのように利用したらよいのか?について2回に分けてお話をさせて頂きます。
「コロナ借換制度」はコロナ融資以外も借換え対象となる
まずは本制度の概要についてですが、
〇保証限度額:(民間ゼロゼロ融資の上限額6千万円を上回る)1億円(100%保証の融
資は100%保証で借り換え 可能)
〇保証期間等:10年以内(据置期間5年以内)
〇保証料率:0.2%等(補助前は0.85%等)
〇売上高または利益率の減少要件(5%以上)、もしくはセーフティネット4号または5号の認定取得が要件。 また、金融機関による伴走支援と経営行動計画書の作成が必要。
となっております。
過去3年以内に借りた「民間版ゼロゼロ融資(コロナ融資)」はもちろんのこと、コロナ融資以外の借入についても借換え対象になると言われております。
ただし、SN4号、5号の取得が条件となっており、SN4号であれば売上高または利益率の減少は▲20%以上、SN5号であれば減少率は▲5%以上が必要です。
つまり、
〇コロナ融資をSN4号にて借りている場合は「100%保証」にて借り換え
〇コロナ融資をSN5号にて借りている場合は「80%保証」にて借り換え
になります。SN5号では20%は金融機関リスクになることから、借換え制度の利用に及び腰になるケースも考えられます。(その場合はリスケを選択すべき)
また、コロナ以外の既往借入についても「100%保証分」「80%保証分」にて切り分けて組み立てる必要があることから、保証割合に応じて、借換え保証を2本借りるケースが起こりえます。
金融機関による伴走支援と経営行動計画書の作成が必要
本制度の利用にはSN4号、5号の取得の他に、融資を受けるには「経営行動計画書」の作成が必要になります。計画書書式については金融庁HPにて公表されていますが、内容的には既にある「伴走支援融資」と似た内容になります。
ポイントとしては
〇現状認識
自社の強みと弱みを外部環境・内部環境にて把握する
〇財務内容
直近決算期での「利益率」「有利子負債倍率」などの6つの指標を明示(ローカルベンチマークの利用をお勧めします)
〇計画終了時の目標値
「EBITDA有利子負債倍率」が5年後にどうなるか?(イメージは5年後に正常先に目安となる「10倍」以内)
〇具体的なアクションプラン
売上・利益に対する課題に対して「いつ」までに「どのくらい」の目指すのかを5年間の道筋を立てる。
〇5年間の損益・CF計画
5年間の努力により利益及びCFをどのくらいまで高め、借入返済にどのくらい充当するのか
このような内容を金融機関と共に会話をしながら作成していきます。
つまり、アフターコロナに向けての自社の経営方針が金融機関及び保証協会の理解を得られるかがポイントになると思います。過去3年間何も手を打たずに「赤字を垂れ流している」企業の利用は難しいかもしれません。
申込が殺到することが予想されますので、まずはコロナ融資を借りた金融機関にお早めにご相談することをお勧めします。
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