最終更新日:2024-06-12
定額減税スタート 給与+年金受給者は確定申告で調整を
- 2024/06/12
令和6年度税制改正の目玉である定額減税がいよいよ6月からスタートした。各地で定額減税の説明会が開催されているが、聞こえてくるのは「仕組みが複雑すぎる」という声だ。また、専門家からは「その効果に疑問あり」として見方だ。
1.仕組みが複雑で事務負担も重くのしかかる
6月から始まった「定額減税」。デフレ脱却を目的として岸田政権が満を持して実施するこの定額減税は、令和6年分の所得税から3万円、令和6年度分の個人住民税から1万円の1人あたり計4万円を減税するもの。夫婦と子ども2人の4人世帯であれば計16万円が減税となる(一定の高額所得者等は対象外)。
サラリーマンなどの給与所得者の場合、6月1日以降最初に支払いを受ける給与等(賞与含む)にかかる源泉徴収税額から控除するが、控除しきれない分については翌月以降の令和6年分の給与等から順次控除。個人住民税については、「定額減税後の税額」の11分の1の額を今年7月から来年5月まで11ヵ月間、均一に徴収する。公的年金等も定額減税の対象だ。給与と同様に今年6月1日以後最初に支払われる公的年金等から控除される(住民税については10月以降)。控除しきれない金額がある場合は、以後支払われる公的年金等から順次控除される。
ここで気になるのが公的年金等と給与所得を同時に受給しているケース。公的年金等と給与所得の2つの収入がある場合、その両方から定額減税が行われることになるが、こうした定額減税の重複控除については確定申告で最終的な年間の所得税額と定額減税額の精算を行うことになる。ただし、重複控除されていることだけをもって確定申告の義務は発生しない。確定申告することで税金が還付される人や、その年の公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であることにより確定申告が不要とされている人など一定の人については、必ずしも確定申告をする必要はない。
定額減税の政策目的は、賃金上昇が物価高に追いついていないことによる負担感を緩和すること。デフレ脱却のための一時的な措置として実施するいわば応急手当であるが、控除が複数月に別れることなどから給付に比べて実感を感じづらいという声も多く、効果のほどは不透明だ。
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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。