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最終更新日:2024-02-13

フライング?国税庁が「定額減税」を周知

  • 2024/02/13
フライング?国税庁が「定額減税」を周知

はじめに

国税庁はさきごろ、「令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について」として、定額減税の広報を開始した。

法案提出前に広報開始

国税庁が公表した情報は6頁だてのリーフレットで、定額減税の対象者等の概要や、源泉徴収税額からの控除の実施者、源泉徴収税額からの控除の実施方法、源泉徴収票等の記載事項などが主な内容だ。
定額減税は、令和6年分の所得税から1人4万円を控除するという岸田首相肝入りの減税策。
納税者と配偶者を含む扶養家族1人につき所得税を3万円、住民税を1万円を減税するもので、例えば夫婦子ども2人の世帯では16万円の減税となる。
サラリーマンなど給与所得者の場合は、今年6月の給与にかかる所得税から控除し、6月に控除しきれなかった分は7月以降の給与にかかる所得税から順次差し引いていく。住民税は6月分を徴収せず、減税分を引いた年間の税額を7月以降の11ヶ月で均等に徴収するという。
ところでこの定額減税を盛り込んだ関連法案は、成立はおろかまだ提出すらされていない。にもかかわらず、フライングのごとく国税庁が周知広報を開始したのは、大綱がこの定額減税の円滑な実施に向けて早期に準備に着手できるよう、「法案の国会提出前であっても」制度の詳細についてできる限り早く公表するよう政府に求めているから。
「源泉徴収義務者が早期に準備に着手できるようあらかじめ周知・広報するもの」というが、早めの周知に足並みを揃えるように、定額減税への疑問の声もジワリと広がっている。
大綱には低所得世帯に対してもきめ細かい給付策が盛り込まれ、幅広い世帯の可処分所得を増やす取組みが進められるが、定額減税に一部給付を織り交ぜたことで複雑化する減税については「わかりづらい」との声も多く、また控除しきれない分を翌月に繰越すという制度設計については、効果が実感しづらい等の指摘もある。
令和6年度税制改正の目玉でありながら、幅広い世帯への減税や給付ということで「ばら撒き」と揶揄する声も少なくない定額減税。早めの周知広報で果たして国民の理解は得られるのか。今後の展開に注目が集まる。

フライング?国税庁が「定額減税」を周知

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