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最終更新日:2024-06-03

【トランザック】初期投資不要のMicrosoft「Powerシリーズ」税理士らに活用を

  • 2024/06/03
【トランザック】初期投資不要のMicrosoft「Powerシリーズ」税理士らに活用を

税務業務を支える人材やリソース、ツールやスキルについて多くの会計事務所が課題を抱えている。クラウド会計の普及で、以前より業務効率化は前進したものの、限界はある。もっと身近に業務の効率化や高度化を進展させるツールはないのだろうか。その解消策を公認会計士らで運営する(株)トランザックの公認会計士の國塚裕太郎氏(写真)が提案している。

1.手作業でのデータ収集・整形作業を効率化

公認会計士3名とITエンジニアでスタートしたベンチャー企業の㈱トランザック(東京・新宿区)は、会計事務所業務の効率化に役立つツール活用を呼び掛けている。
同社は昨年、インボイス制度開始に伴い、取引先が適格請求書発行事業者かどうかを確認できるオンラインサービス「easy Invoice Check(イージーインボイスチェック)」を開発、提供。現在、取引先マスタのメンテナンスや新規取引先の審査に活用されている。
そして今回新たにMicrosoftのモダンツール、「Power Query、PowerBI、Power Auto mate」に着目。すでにエクセルを利用できるユーザーであれば無料で使えるツールも含まれている。これにより、今まで煩わしかった手作業でのデータ収集・整形作業の効率化に役立つという。

2.反復作業の自動化を馴染みのあるソフトで実現

会計事務所では顧問先に提供する資料をはじめ、役所関係への届出、各種添付資料やデータ調査資料作成など数多くの単純、反復作業があり、これに多くの時間がかかる。この作業面が自動化されれば、人手不足解消や事務所経営に大きく寄与できる。こうしたツールは、会計事務所でも日常的に馴染みの深いMicrosoft Officeの拡張機能として位置付けられている。
「Power Query」は、データ収集、結合と整形作業(別々のファイルにあるデータを集約・結合して自動で指定の書式に変換する)を得意とする。例えば、会計データの中に予算、今期実績、前期実績が別々のファイルに存在する場合、これらを一つの表にまとめて自動的に整形し、設計された予実対比分析表として予算消化率などを計算し、資料として仕上げることができる。
「Power BI」は、データの可視化(データをビジュアル化し分析レポートなどを自動作成)を得意としている。例えば、顧問先に毎月経営状況を分かりやすくまとめた月次報告書を渡す場合、手作業では様々なデータを閲
覧しながら組み替えるなど大変な作業となる。「power BI」を使えばグラフなどを交えた報告書をあらかじめ設計して登録し、会計データと連動しておけば、毎月ボタン一つで簡単に作成できる。
さらに「Power Automate」は、反復作業の自動化(同一書式に多くのデータを自動組込)に役立つ。既存のアプリに対応していない確定申告書添付書類を顧問先ごとに作成する場合、単純な反復作業を繰り返すことにな
る。この「Power Automate」に書式と手順を設定しておけば、所定の情報を自動的に反映させて繰り返し作成でき、PDF化も自動で行える。
このMicrosoftのPowerシリーズで、会計システムなどでカバーできていない業務領域をカバーし、利用者の求める資料が自動作成できるという。
最近はクラウド会計システムが主流になりつつあるが、クラウドはブラウザやシステムの制約を受けるため、複数画面同時表示不可など、効率的な作業に限界がある。しかし、外部アプリとコミュニケーションや連携ができる機能、いわゆるAPIを公開しているクラウドシステムであれば、powerシリーズにデータを取り込み、複数画面同時表示などエクセル環境下と同様に作業ができる上、手順を登録する事で自動化できるなど、効率よく作業できる。
サーバ型の会計システムなら、データをCSVのデータ形式に吐き出せれば、Powerシリーズに取り込み、同様に作業ができる。ただし、作業手順に沿ってPowerシリーズを設計するには、PowerシリーズやITに関する一定
のスキルが必要となる。ここに、トランザックがPowerシリーズ活用を支援する意味がある。

3.経理・税務業務の効率化・高度化を支援

この支援サービスは、汎用のアプリケーションを開発して広く販売するのではなく、会計事務所ごとに個別に相談に応じるかたちで実施する。サービスメニューには、「研修サービス」、「伴走サービス」、「代行サービス」、「専門家サービス」の4種類あり、Powerシリーズの機能の習得、操作指導などに関するサポートだけでなく、業務フローの設計・導入、構築から運用面において、依頼があれば同社が請け負う。現在はサービスの試行段階で複数の税理士法人などにヒヤリングを実施し、状況把握と運用ノウハウ構築を行っており随時、無料相談も受け付けている。
トランザックの強みは、Powerシリーズに対する豊富なナレッジと支援実績を有している点と、公認会計士としての会計監査や財務会計領域のコンサルティング経験の2点にある。現在、作業プロセスの自動化ではRPA
(ロボティック・プロセス・オートメーション)が話題になるが、トランザックのサービスは慣れ親しんだMicrosoftOfficeツールを活用するものであり、会計事務所においても受け入れやすいものになると予想できる。
同社の國塚裕太郎公認会計士は、「今までの事業会社向けのサービス経験と公認会計士としての実務経験を活かし、労働集約型で人手不足に悩む会計事務所業界の作業効率化・高度化を支援したい」と語る。こうした作業を「何とか自動化したい」との悩みがある場合は気軽に相談してみてはどうだろうか。

※同社では、パワークエリを使ってfreee内のデータを効率的にExcelに出力するイメージ等を動画にて配信中。
YouTubeの動画はこちらから。
https://youtu.be/9Xy9TvDJY6I

【トランザック】初期投資不要のMicrosoft「Powerシリーズ」税理士らに活用を

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