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最終更新日:2022-12-12

税務会計DX推進の「ZoooU(ゾー)」 属人化解消、業務ミス防ぐ新ツール 儲かる仕組みも

  • 2022/12/12
税務会計DX推進の「ZoooU(ゾー)」 属人化解消、業務ミス防ぐ新ツール 儲かる仕組みも

会計事務所の課題である業務標準化と効率化の解消に向けた新たなツールが誕生した。システム開発と税理士法人の二本柱からなる「Beso Group」(大阪・大阪市)が開発、提供するクラウド型の業務マネジメントツール「ZoooU」(ゾー)は、税理士の定型業務の抜けや漏れをゼロにするといった業務の効率化だけに留まらず、事務所の収益機会を逃さない、いわば税理士が儲かる仕組みも取り込んだプロダクト展開が大きな特徴で、若手税理士らの間で早くも人気を集めている。

開発の原点は、徹底した標準化と効率化

「ZoooU」は自動でタスクを生成させることで、うっかりミスや知識・経験不足などから起因する定型業務のミスを防いでくれるツールである。これを開発した「Beso Group」は、企業向けに財務コンサルなどを展開している(株)Beso(大阪・大阪市、代表取締役=白木淳郎氏)と税理士法人Beso(代表税理士=仲田芽衣氏)との共同運営組織。白木氏も税理士事務所の勤務経験があることから、二人が中心となって2019年より開発に着手し、22年6月にオープンβ版、11月には正式版をリリースした。

白木氏は事務所勤務時代に、慢性的な人材不足による業務の仕組み化や顧問先とのコミュニケーションの不足、職員教育などが、事務所が抱える共通の経営課題であると痛感。既存の業務管理ツールでは顧問先をも含めた税務会計業務全般の可視化と共同でのタスク管理は難しく、それを解消するためには、これまでにない標準化・効率化を実現す るためのツールが必要との発想が、開発の原点になったという。

業務可視化や共同でタスク管理する仕組み

「ZoooU」は、年間単位での税務会計業務や顧問先管理、資料回収リスト、定型業務における各種工程をテンプレート化。顧問先ごとの進捗状況や未提出資料などが確認できる。また、顧問先ごとに、「誰が、いつ頃に、何をやるべきなのか」を確認できる画面もあり、これにより業務レベルの水準を保ち、定型業務のミスを防ぐなど、誰が行っても簡単に仕組み化が図れるのが最大の特徴だ。

さらに「ZoooU」は機能を順次アップデートしていく予定で、まずは「消費税、所得税、法人税の各種届出書の提出の抜け漏れを防ぐサジェスト機能や納税額の違いに関する有利不利判定の誤認を防ぐ自動化機能、タスクと顧客データベースとの連携により、法的根拠をログとして残し、確認ミスを防止する機能追加も予定している」(仲田芽衣税理士)という。

事務所の収益機会を逃さない

タスク管理とノウハウ共有による業務の管理や標準化などができれば、「余剰時間」が生まれ、付加価値につながる提案業務に移行しやすくなる。「ZoooU」のもう一つのコンセプトはこの事務所が稼げる仕組みのベース作りにあり、今後は事務所の収益化と顧問先の業績向上に寄与する機能を追加していく予定だ。

具体的には、既存の会計ソフトと連携して、財務情報や業務の一元管理を構築できれば顧問先への提案機会が増え、収益を生む要因が作れる。また、顧問料の適正化もこのツールで実現させるとしている。さらに、融資や補助金を獲得するために必要な情報入手や書類作成ができる機能を追加して成功報酬が得られる仕組みも構想にある。

その先のロードマップとしては、タックスプランニングをはじめ、顧問先の成長をファイナンス面からサポートできるステージを構築し、税理士の価値を向上させていくとしている。

既存ツールにない発想に“期待感”

「ZoooU」の利用ユーザーとしては、クラウド化やDXの推進、顧問先に付加価値を提供したい事務所等を想定。初期導入費用はナシで、月額(年契約)の利用料と職員一人当たり1アカウントの利用料がかかる。顧問先向けには無制限でアカウントが発行される。現在、7日間の無料トライアルを実施中で、オンラインによる導入相談や定期的なミーティングで運用のフォローも実施。また、職員5名以上の事務所には約3ヶ月間かけての有料導入支援を実施し、スムーズな運用プロジェクトを展開していくオプションプランもある。事務所の規模感にもよるが、職員5~10名程度であれば1~2ヶ月ほどで導入が可能としている。

初年度の導入目標は約300事務所。既に導入例は出始めており、「直感的に使いやすいシステムで、事務所の困りごとを解決してくれそうな期待感がある」とした声があり、「税理士業界を変えていきたいと思う税理士とともにプロダクトを進めていきたい」(白木氏)と語る。

「ZoooU」の「Z」は税理士、「U」が顧問先、「ooo」は橋で、税理士と顧問先をつなぐプロダクトという意味を込めてネーミングされた。その想いがどれだけ税理士業界に浸透していくのかが興味深い。

※追記
「ZoooU」は、経済産業省が推進する「IT導入補助金2022」の対象ITツールとして採択された。対象となる事業者は導入にかかる費用の50%(最大150万円)までの補助が受けられることから、「IT補助金2022パッケージ」の提供を開始。詳細はこちらから。
https://www.zooou.jp/it_introduction_subsidy_2022_release/

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