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最終更新日:2021-03-07

「調査」か「行政指導」かの確認が大事

  • 2021/03/07
「調査」か「行政指導」かの確認が大事

釈迦に説法かもしれませんが、意外に勘違いしている人も少なくないようなので、あえてこのテーマを取り上げさせてもらう。

行政指導は税務署からの「協力お願い」

税務署から連絡があると、すべて税務調査と思っている人も少なくないようだが、調査以外の目的でも税務署が接触してくることがある。いわゆる「行政指導」というやつだ。

調査官が接触してくるとき、「調査」なのか「行政指導」なのか、どちらで接触してくるか、これだけは確認しておく必要がある。

というのも、修正申告書の提出、更正があった場合など、税務調査となれば「加算税」がかかるが、行政指導となればペナルティーはナシ。理由は、税務調査なら「質問検査権」が及ぶが、行政指導であれば質問検査権が及ばないからだ。つまり、行政指導は税務署からの「協力のお願い」にすぎず、それに協力しなくても原則違法にはならない。だから、税務署から連絡がきたら「これは税務調査ですか?それとも行政指導ですか?」と確認するべき。そして、税務署から送付される質問書もしっかりと確認することが重要だ。行政指導であればその旨は明記されており、税務調査となれば税務署は調査であることを明言しなければならない。

従来、税務調査と行政指導の違いは非常に曖昧であった。しかし、平成25年の国税通則法の改正により、国税当局もこの点を明確に運用しはじめたと言われる。そのため、税理士としても、「調査」と「行政指導」の違いについて、十分に理解しておく必要がある。

税務調査は、国税通則法74条の2(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)から74条の6(当該職員の航空機燃料税等に関する調査に係る質問検査権までに掲げる税目に限る)に基づき、税額等の認定および国税に関する法律で処分することとしている。

上記に掲げる調査には、更正決定等を目的とする一連の行為のほか、異議決定や申請等の審査のために行う一連の行為も含まれます。ただし、それらに掲げる調査のうち、

  1. 更正の請求に対して部内の処理のみで請求どおりに更正を行う場合の一連の行為
  2. 期限後申請書の提出又は源泉徴収に係る所得税の納付があった場合において、部内の処理のみで決定又は納税の告知があるべきことを予知してなされたものには当たらないものとして無申告加算税又は不納付加算税の賦課決定を行うときの一連の行為

に掲げる一連の行為で納税者に対して質問検査等を行うことがないものについては、法74条の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)から法74条の11(調査終了の際の手続)までの各条の規定は適用されないことも理解しておく必要がある。

「質問検査」行える業務従事者は限定

一方で「行政指導」については、「調査に該当しない行為」であり、特定の納税者に課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないもの(とどまるもの)とされる。また、これらの行為のみに起因して、修正申告書若しくは期限後申告書の提出又は源泉徴収に係る所得税の自主納付があった場合には、修正申告書等の提出等は更正若しくは決定または納税の告知があるべきことを予知してなされたものには当たらないとされている(手続通達2-1)。

なお、法第74条の2から法第74条の6までの各条の規定により質問検査等を行うことができる職員は、国税庁、国税局もしくは税務署または税関の職員のうち、その調査を行う国税に関する事務に従事している者となる。役所は縦割りなので、業務従事者はかなり限られる。

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