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最終更新日:2022-08-09

2022年(令和4年)税理士試験 受験申込者数は若干回復も懸念される合格者数の推移

  • 2022/08/09
2022年(令和4年)税理士試験 受験申込者数は若干回復も懸念される合格者数の推移

執筆者

宮口 貴志

宮口 貴志

KaikeiBizline論説委員兼編集委員

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。

2022年8月2日~8月4日の3日間、令和4年度(第72回)税理士試験が実施された。実質的な受験者数はまだ分からないが、受験申込者数は若干増え、3万6852人とコロナ禍前まで回復した。とはいうものの、例年通りの合格率なら、5科目取得者は5,700前後になると予想される。

資格学校や簿記学校による合格予想点

第72回税理士試験は、初日の8月2日は「簿記論」「財務諸表論」「消費税法または酒税法」、3日は「法人税」「所得税」「相続税」、4日は「国税徴収法」「固定資産税」「住民税又は事業税」だった。

各科目の難易度は意見の分かれるところだが、資格学校や簿記学校の合格予想点を見てみると、おおよそ以下のようになっている。

簿記論:55~65点

財務諸表論:50~57点

消費税:60~65点

酒税:88~90点

法人税:55~65点

所得税:60~63点

相続税:60~70点

国税徴収法:83~90点

固定資産税:60~65点

事業税:67~70点

住民税:70点前後

コロナ禍において合格者数にどう影響!?

さて、今回の税理士試験だが、コロナ禍3年目とあって、どこまで受験生が戻ってくるのか注目されていた。蓋を開けてみれば、コロナ禍以前の2019年の第69回試験並みの3万6,852人の受験申込みがあった。コロナ禍1年目の2020 年(令和2年)試験が、この10年でも最低の申込者数で3,5135人。2021年(第71回)若干増えたものの、3万6千人を超えられず、35,774人だった。

図表からも一目瞭然だが、この2年だけ受験申込者数が3万5千人台。とくに特出すべき点は、実際の受験者数の割合だ。コロナ禍前は、申込者数のうち80~82%程度が受験していたが、コロナ禍の2020年と21年は76%前後だった。今年はどうだったのか、国税庁の発表を待つしかないが、もしコロナ禍以前の割合に戻れば、約2万9500人弱が受験する。これが昨年並みだと、2万8千人と1,500人近く受験者数が減ることになる。

税理士試験の申込者数の推移
*黄色部分がコロナ禍

なお、2021年の5科目合格者は、6,220人と合格率は16.5%。2020年は6,357人で17.3%、2019年は6,395人で15.5%、2018年は5,382人で12.8%、2017年が7,720人で17%、2016年が6,498人で13.2%となっている。仮に2022年度は16%程度の合格率なら、5,700人程度が5科目合格のキップを手にする。

コロナ禍において、税理士試験の受験者は、チャレンジ的な意味合いの人が受験を控え、5科目合格を射程圏内に捉えた人が着実に受験した。そのため、合格率を高める結果につながった。今年の税理士試験においては、この数カ月のオミクロン株の急な感染拡大の影響で、受験を躊躇した人も少なくない。こうしたコロナの影響が受験者数や合格者数にどう影響していくのか、今後の国税庁の発表を待ちたいところだ。

2022年(令和4年)税理士試験 受験申込者数は若干回復も懸念される合格者数の推移

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