最終更新日:2022-08-24
金融庁 節税保険で国税庁と連携強化
- 2022/08/22
- 2022/08/24
いわゆるバレンタインショック、ホワイトデーショックに代表される保険を取り巻く環境の変化。そうした節税保険に話題が集まるなか、金融庁はこのほど、節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応を示した「国税庁との更なる連携強化について」とするリーフレットを公表した。
保険契約者保護でリーフレット作成
節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品をめぐっては、2019年の国税庁による法人税基本通達改正の周知、いわゆる「バレンタインショック」以降、金融庁からも度々注意喚起を行い、監督指針の改正等を実施してきているが、3年経った現在も依然として保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動が確認されており、保険契約者保護の観点で問題が生じている。またこの点について一部では、「商品認可の段階で金融庁の詰めが甘かったのでは?」との声も聞こえてくる。
そこで金融庁では、今後発生し得る保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動への対応として、国税庁との連携をさらに強化し、商品審査段階及びモニタリング段階での取組みを通じて、より一層の保険契約者保護を進めていくこととしている。
リーフレット「国税庁との更なる連携強化について」によると、商品審査段階での取組みの詳細として、①金融庁から保険会社に対して、国税庁への税務に関する事前照会を慫慂、②保険会社から同意を得た上で、必要に応じて、金融庁からも国税庁に事前照会を実施、③金融庁において、事前照会の結果を商品審査で参考情報として活用(事業方法書への募集管理態勢に関する記載の指導等)、などの連携を実施していくこととしている。
またモニタリング段階では、①両庁の定期的な意見交換の場等を通じて、国税庁から金融庁に対して、保険商品に関する節税(租税回避)スキームの情報提供、②金融庁において、国税庁からの情報や独自に把握した情報を活用し、保険会社・保険 代理店における募集管理態勢の整備状況や販売実態等のモニタリング等を実施、③金融庁から国税庁に対して、商品開発や募集現場で利用されるスキームの情報提供、などの連携を実施するとしている。
金融庁ではこのほか、「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品」に関して広く情報を募集している。一層の保険契約者保護を図るため、保険会社及び保険代理店における保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動に関する情報を持っている人は情報提供窓口まで連絡するよう呼びかけている。
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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。