最終更新日:2021-03-26
未来会計を事業化させる会計人のネットワーク「Ja-BIG」が始動!
- 2014/12/04
- 2021/03/26
(株)日本BIGネットワーク 代表取締役 岩永 經世 税理士
「会計人は社会的インフラ。養成講座ベースに全国展開の基盤づくりを」
「全国会計人の輝く衆知を集めて、世のため人のために尽くそう!」という想いを込めて発足した、新しい会計事務所の全国ネットワーク組織「(株)日本BIGネットワーク」(Ja-BIG)。15年を経過した「NN構想」の生みの親である岩永經世税理士が、新たな事業基盤づくりの原点となった「Ja-BIG」構想をベースに、全国の会計事務所が共同出資し、未来会計の事業化支援を目指すという。活動の原動力となる、いわゆる“MAS”の事業化とはいったいどういうものなのかをインタビューした。
会計事務所を取り巻く経営環境も厳しさを増しています。
新規の顧客が増えない、顧問料の単価が上がらない、顧問料の未収が増加している――、これらは会計業界の慢性的な問題といえるでしょう。特に、会計業界もパラダイムシフトが起きていますので、従来のやり方を変える決断をしなければ、淘汰されてしまう恐れがあります。一方で、中小企業は自社の未来が描けないことへの不安、過去の成功体験が通用しないことへの不安を抱えています。つまり、中小企業は過去会計ではなく、未来会計のアドバイスを求めているわけです。こうしたニーズがあるものの、多くの会計事務所が過去会計に依存し、ミスマッチしている状態が続いています。
岩永先生が考える過去会計と未来会計の違いを教えて下さい。
簡単に言えば、過去会計は税務署への申告を目的とした会計で、未来会計は経営者の意思決定をサポートするための財務情報の提供や仕組み作りだと考えています。未来会計では、経営者に事業の理念や目的を明確にしてもらい、現状とあるべき姿とのギャップを明らかにし、それを埋めるための戦略・戦術を中期事業計画に落とし込みます。そして、単年度のアクションプランを作り、目標を達成しているか毎月検証します。いわゆる“未来会計領域のビジネスモデル”がMAS監査というわけです。
すでに未来会計に取り組んでいる会計事務所も多いと思います。
未来会計を行っているものの、それを事業化、つまりビジネスにできている事務所は少ないのが実情です。未来会計を事業化させるには、専担者が最低でも5人、未来会計の領域だけで年商1億円がひとつのシンボルだと考えます。そうした事務所作りのお手伝いをしたいところですが、中小企業の経営改革は待ったなしの状況です。全国の経営者を支援するためには“規模”と“スピード”という問題をクリアしなければなりません。そこで、会計人や賛同企業に呼びかけて、㈱日本BIGネットワークを共同出資で設立し、新しい会計事務所の全国ネットワーク「Ja-BIG(ジャビック:Japan Bright IntelligentGroup Network)」を誕生させました。
岩永先生といえば「NN構想の会」の運営に尽力されていますね。
平成12年、会計人の個々のネットワークに蓄積されたスキルやノウハウを公開・収集し、中小企業の成長に活かすための第一歩として「NN構想の会」を立ち上げました。この会の基本理念は、「新しい時代のパラダイムに貢献できる“日本の礎”を構築するために、会計業界のフロンティア集団を目指す」ことにあります。そして、会計人の“日本の礎”としての役割は、中小企業がいつの時代においてもゴーイングコンサーンしていくためのインフラを構築することにあります。NN構想の会の設立から15年が経過し、自分なりに振り返ってみたところ「Ja-BIG」構想の原点が見えてきました。
岩永先生といえば「NN構想の会」の運営に尽力されていますね。
平成12年、会計人の個々のネットワークに蓄積されたスキルやノウハウを公開・収集し、中小企業の成長に活かすための第一歩として「NN構想の会」を立ち上げました。この会の基本理念は、「新しい時代のパラダイムに貢献できる“日本の礎”を構築するために、会計業界のフロンティア集団を目指す」ことにあります。そして、会計人の“日本の礎”としての役割は、中小企業がいつの時代においてもゴーイングコンサーンしていくためのインフラを構築することにあります。NN構想の会の設立から15年が経過し、自分なりに振り返ってみたところ「Ja-BIG」構想の原点が見えてきました。
ネットワークの旗揚げは大変ですが、それでも行動しようと思ったキッカケは?
全国の工務店を会員組織化している企業から、会員向けのサービスとしてMAS監査の提供を相談されましたが、会計事務所によってレベルが異なり、十分なサービスを提供できない地域もありました。未来会計を事業化した事務所が全国に存在すれば、こうしたニーズにも応えることができたわけです。㈱日本M&Aセンターの分林会長にその話をしたところ、M&Aの相談は毎年2~3千件あるものの、実際に成約に至るのは1割に過ぎないそうです。しかし、残り9割は買い手が現れなかっただけで、M&Aニーズがなくなったわけではありません。それならば、その9割の企業に対して全国の会計人が未来会計を提供し、買い手が殺到するような魅力ある会社に成長させることは、大きな社会貢献ではないかと言われ、是非一緒にやりましょうと背中を押してくれました。そのほかにも多くの方々の応援があったからこそ、新しいネットワークを誕生させることができたと思います。
今後、新しいネットワークでどんな活動が展開されるのでしょうか。
(株)日本BIGネットワークでは、未来会計サービスを推進する会計事務所のネットワークを構築し、全国の中小企業のゴーイングコンサーンを下支えする“社会的インフラ”としての役割を担います。具体的には、①会社を絶対に潰さない仕組み、②企業価値を高める仕組みを提供します。一方、Ja-BIGのドメインは3つあります。まず会計事務所の未来会計事業化を支援します。そして参加事務所が未来会計を事業化させ、年商1億円の目標を達成するのは、Ja-BIGネットワーク・ブランド化の基盤となりますので、最優先すべき事業と捉えています。そのための第一弾として、MAS専担者養成講座をスタートさせました。
まさに「未来会計を事業化させる」というメインの部分ですね。
そのとおりです。同時に、Ja-BIGにおいても一般企業に対して未来会計を推進していきます。これが2つ目の活動です。NN構想の会の支持団体と連携し、広報などを通じて未来会計ニーズの掘り起しを行うと共に、MAS単価の向上に努めます。後継者塾の運営や未来会計推進全国キャラバンなども構想しています。3つ目は、特化MAS仲介として参加事務所があらゆる特化MASニーズに速やかに対応できるような環境を整えます。具体的には、支持団体や参加事務所が取り組んでいる特化MAS業務をあらかじめ登録してもらい、協力関係を構築して、自分の事務所で対応できない案件などを仲介します。互いの強みを活かしながらビジネスチャンスを拡張すると共に、Ja-BIGネットワークのブランディングを促進します。
会員事務所としては新規顧客の開拓も期待できそうですね。
まずは長年付き合ってきた大切な関与先に未来会計を提供することが先決だと考えます。そこで経営者に喜んでもらえれば、従来の税務会計のサービスではあり得なかった新規顧客の紹介が生まれてくるはずです。もちろん、Ja-BIGネットワークのブランディングが浸透し、外部から業務提携の話が増えてくれば、新規開拓のチャンスも出てくると思います。
会員の追加募集は行わないのでしょうか?
最初の出資者は50人限定とさせて頂きました。まずは50会計事務所が未来会計を事業化させ、年商1億円を達成できるモデル事務所になってもらうことを考えています。募集を締め切った後にJa-BIGへの参加を希望する声も寄せられていますので、タイミングを見計らって2回目の募集を実施する予定です。志の高い会計人に参加して頂き、Ja-BIGによるネットワークのブランド化を確立していきたいですね。
最後に、今後の展望を聞かせて下さい。
Ja-BIGが目指すあるべき姿とは、全都道府県に支援組織を持つ日本最大のコンサルティングファームです。5年以内に全国の会計事務所にMAS担当者1000人、売上1人当たり2000万円、事業規模で売上100億円を目標としています。10年後には3000事務所が参入し、15万社の中小企業に未来会計を提供。将来的には一部上場を果たして優秀な人材の確保と育成の場にしていきたいと考えています。会計人は過去を語るのではなく、未来を語る人になるべきです。そうすれば、会計業界もまだまだ成長していけると確信しています。
(株)日本BIGネットワーク 代表取締役 岩永 經世 税理士
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クローズアップインタビュー
会計業界をはじめ関連する企業や団体などのキーマンを取材し、インタビュー形式で紹介します。
税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。