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最終更新日:2021-12-29

不動産を次代に残す「資産承継ローン」 「資産の承継と資金調達を同時に解決させる新商品」

  • 2021/12/21
  • 2021/12/29
不動産を次代に残す「資産承継ローン」 「資産の承継と資金調達を同時に解決させる新商品」

清水秀雄氏

新生銀行グループの不動産担保ローン会社である新生インベストメント&ファイナンス(株)(東京・千代田区)は、資産承継における課題解決を目的とした「資産承継ローン」を商品化し、このほど取り扱いを開始した。顧問先に資産の管理や承継に関するアドバイスを行う税理士にとって、同商品はどのような位置づけになるのだろうか。 同社執行役員でプロパティ営業部ゼネラルマネージャーの清水秀雄氏(写真)に内容や特徴、メリットなどについて聞いた。

(株)新生インベスト&ファイナンス
プロパティ営業部 ゼネラルマネージャー 清水 秀雄氏

不動産評価のノウハウや経験をベースに開発

―まず、この新商品の内容について教えてください。

不動産を次世代に残すための新たな資産承継ローンというものです。金融機関がなかなか取り組みにくい親子間売買の住宅ローンは、私どもが最も得意とする分野で、長年にわたり不動産担保ローンビジネスを展開する中で、蓄積してきた不動産評価のノウハウや経験がベースになっています。

―商品化の背景にあるのは?

社会や企業、それに不動産の3つに共通する高齢化現象は、スムーズな資産承継を阻む大きな課題となっています。資金繰りに困っているお客さまがもともとの顧客層ではありましたが、そうした状況がますます深刻化するなかで、サステナブルな社会に貢献できる不動産ファイナンスサービスを提供する一環として、今回、新たに商品化したものです。

代表者の個人保証が原則不要、ローン完済後は不動産が手元に残る

―最大の特徴というと。

高齢の不動産所有者が資金調達するとなると、不動産を売却するか、もしくは所有者が土地を担保に自分が連帯保証人になって資金調達するケースがほとんどでした。この資産承継ローンでは、負債を抱える売主が資金調達を希望する場面において、不動産を第三者に売却するのではなく、親族に売却します。私どもが買主に対して不動産の購入資金として融資を実行することによって、資金調達を可能とするというスキームです。その際、不動産の資産価値を的確に見極めて、そのおよそ80%程度の範囲内の融資をさせていただいております。つまり、資産承継と資金調達を同時に解決する手法です。第三者への所有権移転がなく、

親族など関係者で所有権を維持することができ、ローンを返済すれば不動産が手元に残るというメリットがあります。

資産管理を行う法人に不動産を売却することで、事業会社と資産管理会社の整理を行い、リスクを不動産担保に集約することができます。つまり、不動産を法人化して承継する株主の方の債務の負担感がない商品というのも特徴のひとつです。代表者の個人保証は原則不要で、スムーズな資産承継を実現することが可能です。また、法人へ売却する際には、不動産の承継者を株主にすることで、資産承継、相続対策に繋がります。株主構成についても、関係法人、配偶者、内縁、子息など自由度の高い構成が可能です。

―この「親族間ローン」は、以前から扱っていたというお話ですね。

はい。親族間での悩みを抱えるお客様に対しては、不動産購入ローンを薦める際に、「親族間での売買もできます」とご案内していましたが、不動産担保を軸に、より専門性の高い商品を提案していこうというコンセプトに基づき、第三者に売却しないで資金調達をする方法を商品化することで、さらにアピールしました。通常であれば、担保をもとに借りられるだけ資金調達すればいいのですが、どうせなら名義を子供に移して、返済も子供や新設法人に移して、債務と不動産の切り離しを行うという方法です。資産の承継と資金調達を同時に行いたいというニーズに対応した商品というのが、今回の資産承継ローンであるわけです。

―想定される顧客層については。

保有資産の売買取引を通じて資金調達を行う代表的な手法として、セールス&リースバックやリバースモーゲージがありますが、それぞれ一長一短あります。ターゲットはそうしたサービスを考える層ですね。資産承継ローンは第三者への所有権移転がなく、親族など関係者で所有権を維持することができ、ローンを返済すれば不動産が手元に残るというメリットがあります。また、融資額は300万円~10億円(1物件あたり上限5億円)、返済期間は最長35年と、高額な資金調達にも対応できるという優位性があり、セールス&リースバックやリバースモーゲージにはない商品力を強く打ち出していこうと思っています。

相続対策を行う税理士にどうアピールしていくのか

―ところで、相続対策を行う税理士のなかでは、不動産を中心とした顧客の資産管理という分野への関り方が話題になっていますが…

商品開発時には、相続専門の税理士の先生方からアドバイスを頂きました。正直なところ、不動産の資産承継というと、相続税の申告とは直接絡みにくいという印象を与え、なかなか関心を集めるまでには至っていないのが現状ですね。どちらかと言うと売主さん、現在不動産を所有している方の悩み事を解決するための商品の一つだと捉えられているからではないでしょうか。

―さきほどのお話で、資産承継の相続と資金調達を同時に解決するといったメリットをアピールすれば、税理士の注目度も集められるのではないでしょうか。

ありがたいご提案です。不動産の売却に伴う税務上のことは税理士に相談されると思いますが、その際にコンサルタント的な視点から、不動産所有者ご自身の資金調達を不動産の売買代金を受領することによって解決できるといったアドバイスをしていただけたらと思います。

―今後の展開について。

商品紹介を充実させたホームページを開設し、より訴求力を増していきます。税理士の先生方からの案件紹介が成約した際に謝礼をお支払いする「紹介プログラム」も準備しています。相談レベルでも結構ですので、ご連絡いただけましたら個別対応いたします。

また、財産承継に関するコンサルティングといった幅広い業務分野に取組む税理士の先生方との提携関係も、今後、積極的に展開していきたいと思います。

不動産を次代に残す「資産承継ローン」 「資産の承継と資金調達を同時に解決させる新商品」

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