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最終更新日:2021-02-27

アフターコロナの経済対策 祖父母から孫への贈与等が加速か!?

  • 2021/02/27
アフターコロナの経済対策 祖父母から孫への贈与等が加速か!?

高齢者が蓄えた金融資産を若い世代に移し、どんどん消費してもらい経済を活性化させよう——。

アベノミクスもそうした狙いの基、贈与税の特例が形を変えて施行された。アフターコロナでは経済策が重要になるため、今後もお金の流れを、高齢者から若者に移す制度が出てくる可能性が高い。

馴染みの少ない相続時精算課税 誕生の秘話

贈与というと、納税者の多くがまず思いつくのが年間110万円まで非課税となる「暦年贈与」だろう。また、形を変えた贈与として利用されているが「教育資金贈与の特例」「結婚・子育て資金贈与の特例」だ。

一方で、納税者にあまり馴染みがないのが「相続時精算課税制度」。相続時精算課税制度も贈与者の年齢が「60歳以上」となっていることから、「祖父母から孫」への贈与が可能となった。

実は、相続時精算課税制度だが、創設に当たってはかなりキワドい議論がされていた。政府税制調査会の基礎問題小委員会での一幕だが、生前贈与を促すための優遇税制を「金持ち優遇」と指摘した委員に対し、別の委員が「例えば4千万円ぐらいの家を贈与したとしても資産家とはいえない」と別の委員が対抗。するとまた別の委員が「賃貸で一生過ごす人もいっぱいいるんだ」と切り返す。

説明のために用意されたモデルケースであったが、これだけで議論が盛り上がり、緊迫した場面が続いた。結局、すったもんだの末、相続時精算課税制度が誕生したのだが、政府税制調査会の中ですら、金銭感覚の違いがクッキリ表れた。

若い世代に資産を移して景気を良くしていこうという考え方に賛成する納税者は多いと思われるが、政府は丁寧な制度設計と、納税者への説明が不可欠だ。税制改正は、なんとなく年末に行われ、内容がよく分からないまま国会で成立してしまう。日本の首相の多くは、国民への訴えかけが弱いと言われるが、納税者をナメた制度を量産することはやめてほしい。

アフターコロナの経済対策 祖父母から孫への贈与等が加速か!?

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