最終更新日:2021-04-13
会計士が横領・不正を防ぐための会計システムを考案
- 2021/04/13

国内企業の会計不正が急増しているという。公表される多くは上場企業のようだが、コロナ禍がまく会計不正の種はこれからますます増えそうな気配がある。何と言ってもこの不正の温床は、お金の出入りを管理する経理担当者の権限が一人に集中していることにある。この状況をどう改善していけば不正経理が防げるのだろうか。
改ざんの機会をなくす「不正防止会計システム」

中堅企業や上場企業を中心に、経営のしくみ構築・改善(スリム化・デジタル化)を支援している公認会計士中川充事務所(東京・中央区、代表=中川充公認会計士・写真)では、小さな組織の一人会計担当者による横領・不正を防ぐ会計システムを考案し、利用を呼び掛けている。
従来の会計システムは、会計担当者の入力作業軽減を主たる目的としており、不正を防止する仕組みについては不十分であり、すべての仕訳を担当者が入力・修正・削除できることから、第三者チェックがないと、不正や横領に気づくにくかった。
そのため、仮に不正な引出しが行われても、そのデータを削除したり、入力自体を行わずに、預金残高の通帳コピーを偽造すれば不正が発覚しにくかった。
それに対してこの「不正防止会計システム」は、会計担当者の不正防止のために入力作業に制限を加えたのが特徴で、会計担当者は自動取込された預金データの仕訳の追加・修正・削除(相手科目を除く)ができない仕組みを導入している。さらに、会計報告は会計担当者を介さず直接関係者に届けられ、改ざんの機会をなくすことで会計報告の信頼性を高めている。
マンション管理組合、学校のクラブ活動等で活用を
開発者の中川氏によると、「一般の会計システムは仕訳を入力するが、これは仕訳を入力させないシステムなので、コンセプトは真逆。一般的な会計ソフトベンダー側からは出てこない発想でしょう」と話す。また、科目が少ない小さな組織で導入しやすく、「中小零細企業はもちろん、自治体が運営する施設やマンション管理組合、学校のクラブ活動などでの活用も想定した」としている。 今後、中小企業のDX(デジタルトランスオートメーション)化が推進すれば、現在の取引や証憑など紙中心での処理がアナログからデジタルに代わる。現在の「経理」の役割や立ち位置の変化を見越すと「必ずこういった進化したロジックが必要になってくる」(中川氏)としており、近い将来、このシステム制御という考え方が浸透してゆく可能性はありそうだ。

「いいね!」をしよう
- 最新情報をお届け!
- Follow @kaikeihaku
- Tweet to @kaikeihaku
クローズアップインタビュー
会計業界をはじめ関連する企業や団体などのキーマンを取材し、インタビュー形式で紹介します。
-300x200.jpg)

-8-300x200.jpg)


税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。




