最終更新日:2021-07-19
コロナ融資の2回目はなぜ通らないのか?
- 2021/07/19
監修者
徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
昨年実施された「コロナ特別融資」の資金が枯渇してきている企業も増えてきており、2回目の融資を検討または既に申し込みのチャレンジをした企業もいると思いますが、審査はかなり厳しくなっております。
今回は「2回目のコロナ融資」の審査現場の状況はどうなっているのか?についてお話しします。
2回目のハードルはかなり高い
昨年のコロナ特別融資(日本政策金融公庫等の政府系金融機関+民間保証協会付融資)は、過去の赤字幅や債務超過や、リスケの有無を問わずに、とにかく「スピーディー」「希望額に近い」資金を届けることを第一義にしてました。
私としても、過去に経験がないほどの審査の「緩さ」があったと感じています。
(その「緩さ」が正しいかどうかは別として)
コロナ特別融資は「制度上」では「複数回の申し込み」が可能となっておりますが、実際には2回目の融資を打診しても昨年のような「緩さ」は全くなく、むしろ審査は「厳しい」感じになっています。
審査の現場の本音は以下のような感じでしょう。
〇十分な運転資金は昨年供給した
〇この1年間何をしてきたのか?ウィズコロナ時代でのビジネスモデルの転換が見いだせたか?
〇「コロナ前の既往借入」+「昨年のコロナ借入」の返済道筋はあるか?
〇「2回目のコロナ借入」を加算した返済プランはあるのか?
この審査現場の疑問点に企業は答える必要があります。
つまり、「コロナ2回目借入」は「コロナ前の審査基準」よりもハードルは上がっており、審査が厳しくなったというよりも昨年が「緩さが異常だった」と解釈すべきです。
「借入」を増やすだけが生き残る道ではない
とはいえ、企業が生き残るためにも「資金繰り」は待ったなしです。
では、資金繰りを回すための現実的な手段は以下の3つでしょう。
〇リスケジュールにて全ての返済負担を軽減させ、事業変革の時間を作る
〇事業売却(譲渡)により雇用と事業は守る(金融機関の協力が不可欠ですが)
〇今の事業は精算させ、第2ステージの道を考える(個人保証はガイドラインにて軽減させる)
つまり、自己変革のもとで「事業」を継続させるか?「雇用」を第三者に守ってもらうか?が大きな分岐点になります。いたずらに「借入」を増やしても抜本的な解決にはなりません。
金融機関の審査スタンスが厳しいのは逆に企業にとっては良いことかもしれません。
まずは、自身の現在のビジネスモデルを見つめなおし、コロナとどう向き合うのか?
アフターコロナ時代のビジネスモデルはどうするのか?こそが今やるべきことです。
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元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。