最終更新日:2021-06-11
インターン生が書類電子化で在学中に起業|会計事務所も行政と連動しバックアップ
- 2021/06/11

将来有望な人材を確保するため、会計事務所がインターンシップを実施したところ、それに参加した地元の大学生からこんな疑問が投げかけられた。
「会計事務所の仕事はなぜペーパーレス化が進まないのですか?」
福岡・田川市の大学生が「田川dx推進室」を起業
この実体験が起業へのアイデアに発展し、地元の中小企業の書類の電子化をビジネスとすべく会計事務所も全面的にバックアップした結果、その学生は在学中の19歳で起業にこぎつけた。
学生が起業した会社は、福岡県田川市の「田川dx推進室」。税理士法人統合経営システムパートナー(福岡・福岡市、代表=楠本浩之税理士)田川事務所での5日間のインターンシップ最終日、学生から「紙の電子化」が提案され、事務所側は時流に沿った着眼点として大いに評価。起業に向けたアドバイスや資金面での援助などで起業を支援した。会計事務所の起業支援はさほど珍しくはないが、インターンとの出会いから始まり、学生の活動を支援する例は極めて稀なケースだろう。
事業内容は、書類・請求書・帳簿等をスキャニングして、PDFや電子ファイルに変換する作業が中心。アルバイトの学生がスキャン作業を行い、依頼企業から支払われる1時間当たり2,000円の作業料金の中からバイト料が支払われる仕組み。そのキャッチコピーもズバリ、「2,000円から始めるDX 地元の大学生が担います」。

いま学生はコロナの影響でアルバイトが出来ないことが多い。その一方、授業はテレワークで実施されており、大学生のデジタル技術は上がっていることから、このスキャニングサービスにはうってつけの存在となった。
地方での学生起業の例は少なく、田川市の市役所も、公共施設を事務所スペースとして無料で貸出すなど、非常に協力的。書類の電子化は、事務作業の効率化・自動化などにより生産性が向上するだけでなく、在宅・テレワークの推進と人材確保にもメリットがある。電子化する仕組みがあれば、日本の中小企業のテレワークも進み、最終的には企業のDX化が進展する。
地域企業のDX化支援は全国会計事務所でも導入可能
会計事務所としても、クラウド会計であればスキャニングしたデータを会計データに取り込むことができるため、経理の自動化にはこの「書類の電子化サービス」は大いにメリットがある。「電子帳簿保存法を推進すべき立場にある会計事務所にとって、まずは電子化のリテラシーを上げていく必要がある。
学生の活動を支援することで、中小企業のDX導入につながれば」(税理士法人統合経営システムパートナー社員税理士の藤永哲嗣氏)と期待を寄せる。
同時に、「田川の成功事例をもとに、インターン生に起業を勧めて、地域企業のDX化を推し進めるチャンスが到来。このモデルは、全国の会計事務所でも導入が可能だ」(同氏)としており、今後、こうした動きが広まることに期待したい。

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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。




