最終更新日:2021-05-20
中小企業では『有価証券投資』を行うべきではない
- 2021/05/15
- 2021/05/20

監修者

徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
銀行に入行する時に「身元保証人」が必要なことを皆さんご存知でしょうか?
不祥事に備えて銀行員には親などに保証人を立てて入行しています。
(私の時も親が保証人になっていました)
このたび、4月からの民法改正により上限額の記載のない根保証契約は全て無効になることから身元保証人も廃止になるようです。
とはいえ、不祥事を起こした際に行員の保証人に対して賠償を求めたケースはほとんどないことから実態としては意味をなしていなかったようです。
皆さんの顧問先にもひょっとして身元保証人をとっている先はありませんか?
民法改正の機会でもありますので、もし保証人をとっている先がありましたら見直しを促してあげてください。
先日、クライアントから「定期預金ではなくて、投信などに変えてみるのはどうか」?との質問がありました。
これだけの低金利であることから、少しでも利回りを上げたい気持ちはわかりますが、結論として私の考えは「ダメ」です。
特に中小企業で手元預金を投資に振り向けるとどういったことになりうるのか?
について「ダメ」な理由と合わせて、今回はお話をさせて頂きます。
本業の利益を邪魔してはいけない
「運用」と一言では言っても様々なリスクのタイプの商品あるのですが、元本保証のない商品である限り、「元本棄損」のリスクはあります。また、外貨などの「為替レート」が絡むものになればさらにリスクは増加します。
従業員が汗水かいて頑張った利益を、社長の一存で決めた投資の「損」で減らしてしまうのは本末転倒な話です。
逆に「利益」が出たからと言っても、それは本業の利益で増えたものでないのです。
また、「資金繰りが厳しい時に解約すればいいのでは?」とおっしゃる経営者もいますが、もし資金繰りに備えておくのであれば、なおさら「定期預金」等の「元本保証」がある商品にしておくべきです。
他にも、本業と関係ない会社の「株式」を購入しているケースも同様です。
そもそもとして「会社の預金」は「社長一人のものではない」が前提です。
業績が低迷した時に、借入の「見合い」と見られたらアウト!
銀行から借り入れをするときには通常「運転資金」として借入をしています。
その借入はあくまで本業の運転資金として利用をしているはずです。
ただし、赤字が続き、自己資本が薄くなってきた場合に、右側の負債のなかの「銀行借り入れ」が左側の資産の「投資勘定」に「見合う」形になると融資に影響が出ます。
つまり、銀行のお金を借りて「投資(有価証券)」を行っている会社であるとみなされたら、今後の運転資金の融資が出なくなる可能性もあります。
銀行はなぜ中小企業に投資商品を提案してくるのか?
では、前述のように融資に影響が出る可能性があることをなぜ銀行は提案してくるのか?
端的に言えば、「企業の先のことは考えておらず、銀行員自身の目先の手数料利益しか考えていないから」に尽きます。
元本が棄損したとしても、それは「あくまで自己責任です」となりますし、銀行が損失を補填することもありえません。
私から言わせれば、その先何年後の企業の姿がどうなるのかまで考えて売っている銀行員はいないということです。
従業員に胸を張って言えるようなお金の使い方をしているかどうかは、経営者自身の「人間性」が一番出るところなのでよく考えて頂くようにお願いします。

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税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。




