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最終更新日:2021-03-26

これだけは押さえておきたい相続で必要な手続き一覧  銀行口座、カード解約、準確定申など

  • 2021/02/18
  • 2021/03/26
これだけは押さえておきたい相続で必要な手続き一覧  銀行口座、カード解約、準確定申など

銀行口座、カード解約、準確定申告など

最近は「老々相続」と言われるように、財産を残した側も受け取る側もお年寄りというケースが増えている。その結果、相続が次々に重なったり、認知症の人が関係し、相続が複雑になり、トラブルになることも少なくない。相続となったら、どうように手続きを進めたらいいのか、税務申告を含め一連の対策の流れを紹介する。

“待ったなし”の相続申告

親や兄弟などの死亡ともなれば、悲しみに沈んでいる間もなく葬儀の準備、葬儀後には相続税の申告など、早急に進めなくてはいけないことが多い。

相続税の申告は、「相続発生後10カ月以内」とされており、その間に被相続人に関する届け出・手続きなどを行っておく必要がある。相続に伴い発生する細かな手続き関係をザっとまとめた。

葬儀直後に必要な主な届け・手続き

葬儀直後に必要な届け・手続き

  • 死亡届
  • 死体火・埋葬許可申請
  • 年金受給停止の手続
  • 介護保険資格喪失届
  • 住民票の抹消
  • 世帯主の変更届
  • 遺言書の検認(けんにん)
  • 雇用保険受給資格者証の返還
  • 相続放棄の手続き
  • 準確定申告・納税
  • 相続税の申告・納税
  • 国民年金の死亡一時金請求

名義変更や解約などが必要な手続き

  • 不動産の名義変更
  • 預貯金の名義変更
  • 株式の名義変更
  • 自動車所有権の移転
  • 固定電話の名義変更
  • 公共料金の名義変更
  • クレジットカード
  • 運転免許証
  • パスポート
  • ゴルフ会員権

名義変更には遺産相続の手続きが前提に

これらが主な手続き・届出関係だ。これを詳細に見ていくと、

(1)「死亡届」=死亡を知った日から7日以内、国外にいる場合は3カ月以内に、死亡地もしくは本籍地、住所地のいずれかの市区町村の戸籍・住民登録窓口に行う。このとき提出するものは、医師による死亡診断書もしくは警察の死体検案書、届出人の印鑑が必要。葬儀社が代理届出をすることもあるので確認しておくとよい。

(2)「死体火・埋葬許可申請」=死亡届と一緒に行う。手続き的には(1)と同じ。「死体火葬許可申請書」を提出すると、申請直後に死体火葬許可証が交付される。

(3)「年金受給停止手続」=国民年金は14日以内、それ以外は速やかに行う。手続きは、社会保険事務所または市区町村の国民年金課などの窓口。このとき年金受給権者死亡届、年金証書または除籍謄本などが必要となる。

(4)「介護保険資格喪失届」=死亡から14日以内に市区町村の福祉課などの窓口に行う。このとき、介護保険証が必要となる。

(5)「住民票の抹消」=通常は死亡届を提出すると完了するが、抹消届出が必要な場合は、死亡から14日以内に行う。届出人の印鑑、本人確認できる証明書類、たとえば免許証などを持参し、市町村の戸籍・住民登録窓口で行う。

(6)「世帯主の変更届」=故人が3人以上の世帯の世帯主であった場合に必要。死亡から14日以内に市区町村の戸籍・住民登録窓口に行うが、この際、届出人の印鑑と本人確認できる証明書類を持参する。

(7)「公正証書遺言」=「遺言書の検認(けんにん)」の必要がない。自筆証書遺言や秘密証書遺言の申告などを考えるとなるべく早く申告するほうが良い。手続は、被相続人の住所地の家庭裁判所。開封・閲覧していない遺言書原本、遺言者の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺言で財産の贈与を受ける受贈者の戸籍謄本が必要だ。

(8)被相続人が死亡時に雇用保険を受給していた場合=「雇用保険受給資格者証の返還」が必要。手続きは、死亡から1カ月以内に受給されていたハローワークに対して行う。このとき、受給資格者証、死亡診断書もしくは死体検案書、住民票が必要だ。

(9)「相続放棄」=死亡から3カ月以内に被相続人の住所地の家庭裁判所に行う。相続放棄すると、借金などの負の財産だけでなく、土地や現金などの通常の財産も放棄することになるので、十分吟味して行う必要がある。

(10)「準確定申告・納税」=相続開始から4カ月以内に住所地の税務署に行う。相続税の申告は相続開始後10カ月以内だが、それよりも早いので注意。

 「準確定申告」は通常、不動産や年金などの収入がある場合、所得税の確定申告をする必要がある。しかし、年の中途で死亡した人の場合は、相続人が1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に申告と納税をしなければならない。これを準確定申告という。

準確定申告でも、社会保険や生命保険、医療費などの控除は適用されるので、各種証明書などを用意する必要がある。

(11)「相続税の申告・納税」の申告期限=相続開始後10カ月以内に住所地の税務署に行う。相続税の納付は、申告期限までに金銭で一括納付するのが原則。ただ例外として、延納や物納も可能。申告に必要な書類は、

・被相続人の除籍謄本

・被相続人の出生からの戸籍謄本

・被相続人の戸籍の附表または住民票(本籍記載)

・被相続人の住民票除票

・相続人全員の印鑑証明書

・相続人全員の戸籍謄本

・相続人全員の住民票

・固定資産税評価証明書

・不動産の登記簿謄本

このほかにも、用意できたらしていきたいのが

・生命保険金などの明細書

・退職手当などの明細書

・小規模宅地等にかかる課税価額の計算明細書

・相続財産明細書

・納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書

・債務・葬式費用の明細書

・純資産価額に加算される贈与財産価額等の明細書

・相続財産の種類別価額表

・相続税の総額の計算書

など。

相続税の申告判断についてはここでは省く。

(12)「国民年金の死亡一時金請求」=被相続人が国民年金保険料を3年以上納めており、一度も老齢基礎年金、障害基礎年金を受け取っていなかった場合、被相続人と生計を一にしていた遺族は、保険料納付期間に応じた定額の「死亡一時金」が支払われる。ただし、遺族が遺族基礎年金、寡婦年金の受給資格がない場合に限られる。寡婦年金と死亡一時金の両方の受給資格がある場合には、どちらか一方だけを選ぶ。なお、手続きは、被相続人の住所地の市区町村国民年金課など行う。

このほか、名義変更や解約などが必要な手続きについては、被相続人が生前所有していた不動産や動産、契約していたサービスの中には、相続財産とみなされるものもあり、名義変更には遺産相続の手続きが前提になる。

(13)「不動産の名義変更」=被相続人が土地・建物などの不動産を所有し、それを相続する場合に登記簿の名義変更が必要になる。手続きは地方法務局。相続すると、固定資産評価証明書に基づいて相続税が発生。相続開始から10カ月以内に申告・納税をする必要がある。

(14)「預貯金の名義変更」=被相続人名義の預貯金口座は、死亡届が受理された直後から相続が確定するまで事実上凍結される。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、口座の名義人を相続人に変更する。

(15)「株式の名義変更」=被相続人の死亡届が受理された直後から売買ができない。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、株式の名義人を被相続人から相続人に変更する。株式評価額に基づいて相続人は相続税の納付義務が発生。相続開始から10カ月以内に申告・納税する。

(16)「自動車所有権の移転」=自動車は相続財産となる動産であるため、遺言書や遺産分割協議によって相続人を確定させ、所有権を被相続人相続人に移転する。これについては、相続開始から15日以内となっている。

(17)「固定電話の名義変更」=相続税の申告においては、電話加入権を購入して引いた固定電話回線がある場合、電話加入権を相続財産として正しく評価して計上しなければならない。現在は電話加入権自体にほぼ資産価値がなくなっており、これらの評価方法を比較する必要はなく、電話加入権は全国一律1500円と評価すれば問題ない。固定電話を使い続ける場合は税務署とは別にNTTへ相続の手続きをする必要がある。相続に伴う名義変更手数料は無料であり、「加入権等承継・改称届出書」に必要事項を記入して添付書類をつけてNTT加入権センターに郵送することで手続をすることができる。

(18)「公共料金の名義変更」(電力、水道、ガスなど)

(19)「クレジットカード」=解約しカードを廃棄する必要がある。クレジットやキャッシュローンの未精算金・返済額が残っている場合は、相続財産となるため、相続人は相続放棄をしないかぎり、精算・返済する義務がある。

(20)「運転免許証」=最寄りの警察に返還。

(21)「パスポート」=都道府県旅券課に返還。

(22)「ゴルフ会員権の名義変更」=クラブによって規定があり、名義変更できない場合やクラブが買い取る場合もある。

このほか、「携帯電話」や「インターネットのプロバイダー」「介護サービス」などの契約サービスについても手続きを行う必要がある。

これだけは押さえておきたい相続で必要な手続き一覧  銀行口座、カード解約、準確定申など

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