最終更新日:2021-09-11
税理士業界 事業承継(M&A)の実態調査 大半が税理士引退後の方針決定済み、承継後「顧問先の継続取引」に懸念
- 2021/09/11
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「いい税理士をあたりまえに」をビジョンに掲げるMikatus(株)(ミカタス、東京・中央区、代表取締役社長=田中啓介氏)は、これまで数回にわたり税理士業界に関するアンケートを実施してきたが、このほど4回目となる「税理士業界の事業承継(M&A)に関する実態調査」を実施した。
1.「10年後の事務所像」に102事務所が回答
今回の調査は、インターネット経由で全国102会計事務所から回答を得たもので、コロナ禍にも関わらず、過半数の税理士が事業拡大に前向きな一方、承継後の「顧問先の継続取引」を懸念する声は依然として高いという結果が明らかになった。
調査項目は①10年後の事務所イメージ②会計事務所の事業譲渡への関心③会計事務所の事業譲受への関心④事業譲渡を検討するうえでの懸念点⑤事業譲受を検討するうえでの懸念点について。
まず、「10年後の事務所像」では、コロナ禍で見通しがきかない現状において、4人に1人の税理士が事務所の将来についてイメージや意識を持ち、スタッフとも話し合いをしていることが判明した。
また、引退した後の事務所運営の方針については、「特に方針を定めていない」との回答は約3割にとどまり、大半の税理士が引退後の方針を持っていることが明らかになった。
その具体的な方針として、「他の税理士・事務所に譲り渡したい」が36%と最も高く、4割弱の税理士が事業譲渡を将来の選択肢としていることが判明した。次に「スタッフに事業を譲りたい」は20%、「顧問先には他の顧問税理士を探してもらいたい」は10%であった。その他、「子供に承継したい」など、世襲を方針にしているとの回答も4%あった。
高齢化が進展する会計業界において、事業譲受への関心度合いについては、「ある」または「すこしある」との回答を合わせると半数を超えたことから、税理士が事業の拡大や成長に対して前向きであることが確認された。その一方で、事業譲受を実施または検討したことがありますか?との質問に対しては、約7割の税理士が「事業譲受をしたことがない」と回答。 事業の拡大や成長に前向きな意向があるにも関わらず、具体的な動きがない実態が明らかになった。
2.事業譲受(買うこと)を検討する上での懸念点
次に、事業譲渡を実施または検討したことがありますか?という質問に対しては、84名が「ない」と回答。実際、懸念される点については、「顧問先に対するサービスの方針が大きく変わらないか」(35)、「顧問先が離れてしまわないか」(27)といった点があがった。また、事務所の運営やスタッフに関する懸念としては、「事務所どうしの相性・文化が合うか」(30)、「スタッフの雇用が守れるか」(25)、「業務方針が大きく変わらないか」(20)を指摘する声があった。
最後に、事業譲受を実施または検討したことがありますか?に対しては、「ない」が68名と大勢を占めたものの、およそ2割の税理士が実施または検討していることが明らかになった。
その理由としては、「事業規模を拡大したい」(45)、「新しい顧問先を獲得したい」(32)、「事務所の拠点を増やしたい」(20)など、事務所の成長に関する回答が多くを占めた。その他、「事業承継してほしいという依頼に応えたい」(27)、「即戦力となるスタッフを確保したい」(27)といった回答もあった。 また、検討するうえでの懸念点として最も多かったのは、「譲受後も顧問先が継続して取引してくれるか」(49)で、「事務所どうしの相性・文化が合わない可能性」(47)、「業務方針(システムや運用ルール)の変更に柔軟に対応してくれるか」(40)、「適正な事務所の評価が行えるか」(22)といった順に回答があった。 同社では、今後も事務所の経営に役立つアンケートを継続的に実施していく予定だ。
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