最終更新日:2022-06-06
税理士業界のSDGs促進に挑むアイネックス税理士法人 代表社員 川端 雅彦氏
- 2022/06/06
プロフィール
平成元年税理士試験合格
平成5年川端会計事務開設アイネックス株式会社設立
平成23年アイネックス税理士法人設立 京阪神を中心とする約500社のクライアントに対して、お客様にあわせた財務・税務のコンサルティングサービスを、グループの強みを活かしてワンストップで提供している。
最近よく耳にする「SDGs」。持続可能な開発目標を意味し、このところ企業のみならず税理士業界内でも徐々にこの「SDGs」に取組むケースが増えてきた。SDGs経営に向け、リーダーシップを発揮する社員の育成と、未来に繋がる人材が集まる企業を目指す「アイネックス税理士法人」(本社=京都・京都市)もその代表例。川端雅彦代表社員(写真)に普及促進活動等について聞いた。
経営理念の実現とSDGsへの取り組みは同一ベクトル
まず、このSDGsへの取り組みに注目された理由からお話ください。
ご周知のとおり、持続可能な開発目標であるSDGsとは、2015年の国連サミットで採択された世界規模の目標です。私自身が持っていた問題意識に沿うものが、SDGsに掲げられた達成すべき目標である「17のゴール」の中に複数あったことから、事務所内部に留まらず対外的にも発信していこうと思ったのがきっかけです。
そもそも、経営理念の実現とSDGsへの取り組みは同一ベクトルというべきものでしょうか。
例えば、「質の高い教育をみんなに」や「ジェンダー平等の実現」、「働きがいも経済成長も」といった、中堅・中小企業でも取り組めるテーマも幅広く包括しており、これはまさに企業経営をしていくうえで避けては通れない重要なテーマです。
会計事務所経営でも同じですから、経営理念の実現に向けた活動目標として、SDGsの周知・達成に向けた取り組みを促進することを目指しています。
そうした活動は自社単独で行っているのでしょうか。
社内に専門家はおりませんので、取り組みにも限界があります。そのため、この分野で展開されている(一社)日本ノハム協会とパートナーシップを結び、目標を掲げ、取り組みを進めています。この協会の神田尚子代表理事とは、稲盛和夫さんの「盛和塾」での塾生同士という関係もあって、メンバーシップ企業として加盟させていただきました。
所内では「時短勤務制度」を採用
具体的な取り組みについて教えてください。
雇用・働き方・環境への配慮など、普及促進活動を展開しています。なかでも、「ジェンダー平等の実現」と「働きがいも経済成長も」については、喫緊に取り組むべき課題として位置付けております。ハンディキャップや性別を問わず、能力を十分に発揮できる場の機会を企業は提供すべきです。
事務所においては、顧客を担当できるレベルがあっても、あるいは担当者のアシスト役として能力があるにも関わらず、介護や育児で定時までの勤務や残業が難しいといった方の就業を支援するため、アソシエイト職という「時短勤務制度」を採用して、働き甲斐を高められる仕組みを導入しています。アソシエイト職新設による女性の活躍を目標に、女性比率目標50%、女性幹部を現在の1名から3名に増やすことが目標にあります。
また、在宅勤務制度の導入で働き方改革を実践しています。週2日出社で、残りは在宅か出社かを選んで働く制度で、ほぼ100 %の社員が、週2~3日の在宅勤務をしています。こうしたリモート勤務形態は、社内アンケートでも満足度は高く、心身の健康に効果的な働き方になっていると考えています。
会計事務所業務のデジタル化についてはいかがでしょうか。
働き方改革に、IT化の推進は欠かせません。書類の電子化への取り組みですが、DX化によりペーパーレスを可能にすれば、森林伐採などによるCO²削減に寄与することになり、エネルギーをたくさん消費する車や飛行機による移動を抑えることにもなります。
所内ではどのような反応がありますか。
比較的若い世代が多いためか、拒否感というよりも意識を持って取り組んでいこうという取り組みを、手探りではありますが始めているところです。こうした取り組みで欠かせないのはトップのリーダーシップではないでしょうか。
DX化による生産性の向上についても生半可な気持ちではなく、もう後戻りはできない、といった気概とエネルギーがトップには必要です。
事務所アピールポイントにもなるSDGs
SDGsを見える形でどう表現されているのでしょうか。
ホームページやスタッフのブログ等でも紹介して、周知をしています。また、名刺にもSDGsへの取り組みをロゴデザイン化して、新規顧客の面談時に配布して話題性をアピールしています。
会計業務との関連性をどうアピールしていけばいいのでしょうか。
SDGsというと、一般的には環境とか脱炭素化に意識が向かいがちな傾向があります。そういった分野と会計業界との関連性は薄いですが、働き方や働き甲斐、生産性の向上、待遇面の向上などの項目は企業はもちろん、会計業界にとっても重要な課題で、SDGsの目標とすべき取り組みとも深く関わっています。事務所が自分事として取り組んでもらうことで、SDGsの達成、また、持続可能な企業のお手伝いもできるではないかと捉えています。
SDGsは事務所のアピールポイントになりますか。
間違いなく訴求ポイントの一つになりますね。それに加え、今後の社会を担っていくであろう「Z世代」が、就職先として企業を選ぶ際に優先する基準の一つとなり、またその企業の「社会的貢献度」を満たすことになりますので、採用という点でも欠かせないものとなると思っております。
最後にメッセージをどうぞ。
これからは、環境適応型の会計業界を目指すべきで、SDGsへの取り組みは、意識を変えるうえでも大切なことだと思います。アイネックス税理士法人では、パートナーシップを結ぶ日本ノハム協会の「サステナブル成長診断」を通じ、SDGsの実現に貢献していけるように日々精進してまいります。
ありがとうございました。
「いいね!」をしよう
- 最新情報をお届け!
- Follow @kaikeihaku
- Tweet to @kaikeihaku
クローズアップインタビュー
会計業界をはじめ関連する企業や団体などのキーマンを取材し、インタビュー形式で紹介します。
税界よもやま話
元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。