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最終更新日:2022-11-30

与党税調 5年度税制改正で6年1月から義務化される“電帳法・電子データ保存”に特例検討

  • 2022/11/29
  • 2022/11/30
与党税調 5年度税制改正で6年1月から義務化される“電帳法・電子データ保存”に特例検討

今年1月からの改正電子帳簿保存法(電帳法)施行に伴い、電子データ保存に関する宥恕(ゆうじょ)規程が適用され、2年間の猶予期間が設けられたが、与党税制調査会では、期限後においても特例を定め、中小企業に配慮していくことで検討が進めている。

執筆者

宮口 貴志

宮口 貴志

KaikeiBizline論説委員兼編集委員

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。

令和6年末までは紙の保存でもOKだが…

改正電帳法は、経理部門で作成る帳簿や決算書など書類や、取引に伴い発生する注文書や請求書などの国税関係帳簿書類を電子保存する要件を定めた法律。法人税や所得税などの各税法では、帳簿類の保存に関して紙での保存を要件としていることから、各税法をまたぎ電子データとして保存する場合の要件を電帳法で示したもの。

その改正電帳法が今年1月から完全施行されことで、電子データで帳簿類を保存するためには、企業は電帳法に対応した帳簿保存等が不可欠となった。

改正電帳法は①「電子帳簿保存」、②「スキャナ保存」、③「電子取引(電子データ保存)」の3点で構成。①②に関しては、紙でも電子データの保存でも認められるが、③に関しては、紙での保存は許される、電子データとして保存することが義務化されている(図表の赤枠の部分)

(出典:国税庁パンフレットより)

ただ、この③「電子取引(電子データ保存)」の義務化に関しては、企業側での早急な対応が難しいとの理由から、令和4年度税制改正で宥恕規程が適用され、6年末までの2年間は、紙での保存でも良いとされた。

多くの企業が対応に苦慮

しかし、ここにきて多くの企業が対応に苦慮していることから、与党税制調査会では、電子データ保存について、特例を設けて請求書のデータを簡易保存することを条件に紙での保存も事実上容認する方向で協議に入った。

12月中にとりまとめる5年度与党税制改正大綱に盛り込む方針で、対応に遅れる企業を救済していく。5年10月にはインボイス制度もスタートする。そのため、中小零細企業に

おいては同時に対応していくことは困難との声も多いことから、これに対応したもの。

特例の具体的な内容はこれから詰めていくが、税務当局が「相当の理由」があると判断すれば特例として扱う考えだ。「相当の理由」については、資金面で電帳法適用システムの導入が難しいなど、幅広い理由を認めるほか、事前申請なども不要にする方向で検討している。

与党税調 5年度税制改正で6年1月から義務化される“電帳法・電子データ保存”に特例検討

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