最終更新日:2021-09-11
コロナ禍での飲食店開業時における「客数」設定の考え方とは
- 2021/09/11
監修者
徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
コロナ禍が長期化しておりますが、飲食店の新規開業を考える経営者も多くいらっしゃいます。
ピンチがチャンスとも言いますが、金融機関からすれば、飲食店に対する審査は相当厳しい状況です。
しかし、私にも「コロナに負けない計画はどう作るべきか?」の問い合わせが多いことから、今回はコロナ禍での事業計画の立て方についてお話をします。
「満席」を前提とした売上は立てないこと
小売業の売り上げ計算の基本は「客数」×「客単価」になりますが、今回は「客数」の考え方をお話しします。
内装の図面を検討する際に、客席レイアウトを考えますが、皆さんはレイアウトはまずは、コロナ関係なく通常モードでの客席配置を考えるはずです。
まず図面作成上ではこれでOKです。
しかし、事業計画を立てる際には、コロナ禍で「客同士の距離を取る」ことを前提としなければならなく、通常客席数に対して「コロナストレス」を掛けていかなければなりません。
例えば、
〇開業1年目は通常席数×「60」%
〇開業2年目は通常席数×「70」%
〇開業3年目以降は「100」%
といった席数に「コロナ掛け目」を入れていくと考えやすいと思います。
コロナ禍の今ではコロナの正常化がいつからになるのか?は誰にも分りませんが、「仮定条件」として自らが考える「コロナ正常化」時期を設定してみるといいと思います。
その場合「年単位」で考えると、なかなか売上好転の時期が表面化してことないことから、「月単位」にて事業計画を立てていくことをお勧めします。
例えば、「コロナ正常化を2022年4月からと仮定する」とした場合は、席数の掛け目を60%→70%に緩和させるのが2022年4月からにするなど細かく設定できます。
客席占有率を出してみると金融機関には分かりやすい
次に、席数に対しての客数の占有率を考えます。
例えば通常満席数が「50席」のお店だったとします。
上記の例で考えると、開業1年目は席数ストレス60%とすると「30」席になります。「30席」に対して1日あたり〇%の客数が入るのか?を考えます。(客席の回転数は無視します)
仮に30席に対して「80%」の占有率だとすると、1日の客数は「24名」になります。
この「24名」の客数は通常席数「50席」に対して「約50%」の客となります。
このような数値設定をしていると、金融機関に対する説明時に説得力がある売上計画だな!と印象を与えることができ、コロナ禍でも売上の設定には無理がないと言えるのです。
このように、
〇通常客席数に対する「コロナ掛け目」
〇「コロナ掛け目」客席数に対する占有率
〇通常客席数に対しての占有率
といった感じで考えると保守的な売上計画と評価されます。
ただ、利益が出るためには、「原価率」「固定費」のバランスが次に考えることになります。
売上を保守的に設定した以上、「原価率」「固定費」はさらにシビアに見ていく必要があるので、特にコロナ禍での新規開業には注意が必要ですし、融資の返済は「据置期間」の設定は必須であることをよく覚えておいてください。
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