最終更新日:2021-10-27
リスケを決断するポイントはどこにあるか?
- 2021/10/27
監修者
徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
コロナの影響が長期化しております。
ニュースでは倒産件数が少なくなってきているとは言われておりますが、水面下では資金繰りに困窮している企業も増えていると思います。
実際に私のHPの記事のアクセス動向を見ても「リスケジュール」に関する記事のアクセス数がここ数ヶ月かなり増えており、経営者の頭も揺れているものと想像できます。
今回は借入返済を止める=リスケジュール(以下リスケ)を決断するポイントについてお話をさせて頂きます。
経営者がリスケに踏み込めない理由は
私が経営者と面談をしていて、なかなかリスケに踏み込めない理由を伺っていると、経営者がリスケに踏み込めない理由が大きく2つ浮かび上がってきます。
〇新たな借入ができなくなる
〇信用不安が起きてビジネスが継続できなくなる→これは全くありません
まず「新たな借入ができなくなる」これは一般的にはその通りです。
リスケをしてしまうと取引銀行からの新規融資が出来なくなります。基本的には今ある「自己資金」にて再生を行っていくことになります。
ただし、今は「経営サポート保証」などの再生ステージにある企業に対して融資を行う制度もあります。
また一定のライン(ラインの詳細については別途お話しします)になれば、融資取引が復活できます。
問題なのは、今の財務内容で返済を続けていたとしても、新たな借入ができるのか?どうかのジャッジが出来ていないことです。
「返済を続けていれば、また融資をしてくれる」と思い込み、「今の財務内容ではたとえ返済を続けていても、どうやっても新規融資は出ない」企業が多くいるのです。
リスケとは「返済しない」のではなく、「返済方法を再考する」ことです。
金融機関に新たな融資を断られたら?
昨年、コロナ特別融資を借りた方も多いと思います。コロナが長期化するなかで「2回目」の融資を断られた場合は「新たな融資は無理です」と金融機関は意思表示しているので、躊躇なくリスケの選択をしてください。
ただし、今はまだ手元にお金があるから返済を続けたいと思う経営者もいますが、新規融資が出ないのであれば考え方を180度変える必要があります。
新規融資を断られたら、やるべきことは「今の借入返済負担をなくし、会社を再生させるための時間を作る」ことです。
新規融資を断られたからといって「破産」や「清算」などの道をすぐに選ぶ必要はありません。 大切なのは「企業・社員・取引先」を守ることです。リスケはあくまで再生の手段のひとつにしか過ぎませんが、経営者の思い込みで再生のチャンスを逃すことがないようにしてもらいと思います。
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元税理士業界の専門紙および税金専門紙の編集長を経て、TAXジャーナリスト・業界ウォッチャーとして活躍する業界の事情通が綴るコラムです。