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最終更新日:2022-04-09

プロの視点で進める「物納戦略」税理士との共同提案で“争族”回避

  • 2022/04/09
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(株)円満相続推進の会 代表取締役 木元 勇

木元 勇

(株)円満相続推進の会 代表取締役

最近では、資産税を扱う税理士らの間でもあまり話題に挙がらなくなってきた感もある、相続・納税対策としての物納。しかし、決して物納にメリットがなくなったわけではない。そこで、物納専門特化のコンサル組織として活動を続ける(株)円満相続推進の会の代表取締役である木元勇氏に、プロの視点で進める相続税の物納戦略について、事例を紹介しながら解説していく。

物納に消極的な税理士

国税庁の統計では、物納の申請件数は平成4年をピークに徐々に減少している。これは、金銭納付の困難事由の明確化により、物納制度の厳格化が図られた平成18年度税制改正の影響を受けたもので、令和元年度には物納受理件数は「61件」、収納金額も「186億円」と、大幅に減少している。

当然、税務当局側も原理原則を貫き、物納はあくまで例外という意識が強い。事務手続きが煩雑な上、審査にも時間がかかるため敬遠されているのが実態だ。また税理士側も、物納は手続きが大変な反面、実際に許可されるかどうか不明確であり、物納事務の税理士報酬も不透明なため、消極的な税理士が多い。さらに、物納の審査内容や要件整備の措置に詳しくない税理士であれば、さらに消極的になる。

物納処理案件で累計600件超

そうしたデメリットばかりが強調されがちな物納だが、相続財産の約半分を占める不動産の相続問題を、納税者の立場で最適かつ的確な資産承継プランニングを提案しているのが、(株)円満相続推進の会(東京・中央区)だ。

円満相続推進の会は、約25年にわたる物納特化のスペシャリスト集団として、物納が最も合理的な納税資金対策であることを提唱しており、税理士をはじめ地主らの理解を得て展開してきた物納処理案件は累計で600件を超える。代表の木元氏は、旧大蔵省財務局が主管していた国有財産仲立委託会社「国土工営(株)」の企画開発者として、当時、税理士協同組合との業務提携に携わり、「物納トリニティーシステム」の普及・促進に尽力。その経験や知見をベースに「円満相続推進の会」を立ち上げ、納税資金に苦慮する土地資産家に対して、物納制度を活用した資産承継のノウハウや独特のプランニング業務を提供し続けている。

同社が展開する物納戦略を実現するための戦術としては、①基礎調査②基本方針決定③専守防衛策構築④実践展開がある。不要な土地を処分し、価値のある土地、つまり収益力のある良い財産を残す。いわば、損をさせない納税の仕方を提案することをミッションとし、最終的には物納選択の分岐点(相続税評価額×約1.29倍)超の売却と権利清算・売買・交換買戻しを行い、納税資金の確保および優れた資産の承継で価値を高めていく。

貸宅地や貸家建付地の底地物納に特長

なかでも特長的なのは、貸宅地や貸家建付地の底地物納をはじめ、駐車場の物納などの実績だ。木元氏は、「アパートの底地を物納し、アパートの賃料を積み立てて、数年後にその底地を買い戻したり、国から物納地を借り受けて駐車場として賃貸経営を継続させた事例もありました」。また、「貸家建付地の物納では、賃料収入は物納後も変わりなく収益を蓄積し、将来国から買い戻す計画で展開した例も」という。

こうした物納制度の活用は、最低でも1年程度の準備期間が必要で、同社では、相続税の納税資金対策を税理士との共同事業で取り組んでいる。物納報酬の一部は顧問税理士に税務報酬として支払われて、税理士らからは、「目からウロコが落ちた気分。物納活用の生前・納税対策業務を遂行することで相続トラブルもなく、顧問先から感謝された」とした評価もある。

少子高齢化でますます混迷の方向に向かう相続問題。「物納は難しい」と単純に敬遠することなく、顧問先の相続・納税資金対策の解決の糸口として問題点を共有し、「改めて物納制度に着目していただくことで、顧問先の争族回避、円満相続に役立てて欲しい」(木元氏)と呼び掛ける。 そこで、次回より「物納制度」を活用した事例を紹介し、相続・納税資金対策に絡んだ問題点およびその具体的な解決策を解説していく。

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