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最終更新日:2023-04-09

インボイス登録状況が簡単にわかるオンラインツール「確認方法、どうしますか!?」

  • 2023/04/04
  • 2023/04/09
インボイス登録状況が簡単にわかるオンラインツール「確認方法、どうしますか!?」

インボイス制度の導入まで半年を切った。各企業の対応状況に目を向けてみると進捗は様々だが、自分が売主として行うインボイス発行に関する準備は進められている一方で、買主として行うべきインボイスを受け取った後の実務処理の準備が遅れている傾向がみられる。現場支援を行う公認会計士の立場から、このニーズにいち早く注目してサービス開発を行ったのが、(株)トランザック(東京・新宿区)が提供する「easy Invoice Check」(イージーボイスチェック、以下、eIC)である。本稿で紹介したところ、読者から反応が高かったので、再度、詳細をお伝えする。

トランザックが開発した「eIC」

(株)トランザックは、2022年に設立されたベンチャー企業であり、3人の公認会計士と1人のエンジニアが設立者である。日頃、企業の内部に入り経理DXを含めた会計コンサルティングサービスを提供する中で、少しの工夫でマニュアル作業を激減させられることを痛感し、会計業務を変革させることを理念として創業された。

easy Invoice Check(eIC)とは、株式会社トランザックが自社開発したインボイス制度対応支援アプリケーションである。今般のインボイス制度においても、マニュアル作業が非常に多くなることが想定されることにいち早く気づき、十分なサービスが提供されていない買主側の対応を支援できるサービスとしてeICが開発された。

機能の概要

eICは、取引先のインボイス制度登録状況を把握するための機能を提供しており、機能は大きくは一括チェック機能とアンケート機能の2つに大別される。

一括チェック機能は、主に法人の取引先の状況を確認するもので、最低限法人名称が登録された取引先一覧をアップロードすれば登録状況をチェックできるという機能である。国税庁のサイトで、手作業でこれらを確認しようとすると、まず「法人番号公表サイト」で法人番号を特定し、その後「適格請求書発行事業者公表サイト」で法人番号を基に登録状況を確認するということが必要で、取引先が数百社あるような場合では大変な労力になることが想定される。

eICでは法人名称(と可能であれば住所)が記載されたリストを基に一括してインボイス制度登録状況まで確認できるため、大幅な効率化が見込まれる。

法人のインボイス制度対応状況は、上記の通り国税庁が公表する情報のみで検索が可能であるが、個人事業主の場合にはプライバシー等の関係から情報が開示されておらずそのようには行かない。そのため、インボイス制度対応状況を確認するためには、直接取引先に確認をするしかないが、現状ではこの確認は電話・郵便・FAXなどの手間がかかるもので行われていることが実情である。

eICではこの確認にあたって、メールを送信してアプリ上で回答をしてもらい、回答状況を一元管理することが可能である。これによって、マニュアルでの問い合わせ作業、回答結果の集計作業、未回答得意先の督促などの工数を大幅にカットすることが可能となる。

また、確認したタイミングでは登録済み、ないし未登録であったとしても、それらは取引先の意思によって変わることが想定される。そのため、それらの状況を継続的にチェックすることが必要となるが、毎月検索をしたり問い合わせをしたりするのは現実的ではない。そのため、それらを補完するための機能として、状況の変更を定期的にお知らせしてくれるステータス変更通知機能が今後加わる。

開発担当者に聞く

Q.なぜeasy Invoice Checkを作ろうと思ったのか?

我々は公認会計士として、普段から経理支援業務として、お客様の会社の内部に入り、業務の代行やより効率的・効果的な業務となるような業務改善サービスを提供して参りました。その中で、日々行われる付加価値が低い繰り返し作業をどうにか減らしたいという思いは常に持ってきたところですが、特にこのインボイス制度対応において多くの企業がマニュアル対応を前提としている取引先のインボイス登録状況確認作業の負担をどうにか軽減したい、という思いを強く持ちました。私は開発担当者ですが、私自身も公認会計士でもあります。ただでさえ月次決算・四半期決算・年度決算と忙しいのに、現場の方が悲鳴をあげながら確認作業に時間を費やすことが想定できましたし、私がその立場だったら大変すぎて病んでしまうのではないかとすら思い(笑)、これは何とかしないといけないと思いました。

Q.開発にあたって自社の強みだと思うことは?

先ほど申し上げた通り、現場の作業を想像でき、現場目線でニーズをくみ取って課題を整理できることだと思います。そして、アプリはエンジニアと私で自社開発していますので、ニーズをサービスに迅速に織り込むことができると考えています。通常のアプリ開発では、現場ニーズをヒアリングするところから始まり、要件定義や設計等を行いますが、ニーズを認識している会社と開発する会社は他社であることが多く、複数の外部開発企業が関与することも珍しくありません。要するに、作ってほしい人と作る人が異なるようなことが多いですので、ニーズを正確に開発側に伝えるにも時間がかかりますし、その後の微調整なども時間がかかることが通常です。その点弊社では、作ってほしい人と作る人が同一チームですので、迅速な開発が可能ですし、加えて痒いところにも手が届くサービスを提供できると考えています。

Q. 利用者の声は?

プライム上場企業から中小企業まで、幅広くご利用いただいておりますが、「効率的にインボイス制度対応状況を確認できた」「手作業では考えられなかった」など、ポジティブなフィードバックを多くいただいています。中には、我々が認識していなかった更なる機能改善のヒントを頂くようなものもあり、ご利用いただいている方とのコミュニケーションは非常に有意義かつ大変ありがたいものだと感じております。我々はコンサルタントでもあり、開発者でもありますので、お客様のニーズに沿って実務変革を達成することに心から喜びを感じておりますし、今後とも現場目線でサービスを提供していきたいと思っております。

Q. 今後の予定は?

直近でリリースを予定しているのは、インボイス登録状況のステータス変更通知機能です。インボイス制度の登録というのは、一度登録したら一生変えられないというものではなく、企業の意思によってインボイス登録を取り消すことができてしまうものです。そのため、制度開始したタイミングでは登録したけど、その後は取り消して再び免税事業者に戻りたいという思いを持つ企業も無いとは言えません。

しかし、それを買主側が適時に把握して経理処理・税務処理に織り込めない場合には税務申告等が不正確になってしまいます。そして、今は登録していないが今後登録する予定である取引先もありえますので、一時点だけ確認だけでなく、継続的に登録状況をモニタリングしていく必要があるのです。eICではそのようなニーズに対応して、定期的に変更された取引先をユーザーに通知する機能を実装予定です。これによって、ステータスが変わった取引先を漏れなく把握することができるようになります。

また、先ほど申し上げましたが、日々利用者の方々とコミュニケーションをとる中でヒントをいただいております。今後も開発を行うことで皆様に価値を提供できると思われるものについては、積極的かつ機動的にサービスに組み込んでまいります。

最後に、我々は経理コンサルティングも並行して提供しております。最初は、人員が足りないというニーズの中で、業務代行から入ることが多いですが、その中で業務改善が必要な点は、プログラミングも含めてワンストップでサービス提供を行うことができます。

このような企業内部から業務を改革していくという取り組みも継続して参りたいと考えています。これから繰り返し作業のような付加価値が高くない作業はどんどんAIに取って代わられると言われていますが、それまでにはまだしばらく時間がかかりそうです。ちょっとした工夫で現状の作業を大幅に改善できることも多いですので、クライアントが本質的な業務にもっと時間を割けるように少しでもお力になれたら幸いです。

現在、モニター会計事務所を募集中。

 

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