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最終更新日:2022-11-23

政府・与党 1万円未満の取引ならインボイス不用の特例検討

  • 2022/11/23
政府・与党 1万円未満の取引ならインボイス不用の特例検討

執筆者

宮口 貴志

宮口 貴志

KaikeiBizline論説委員兼編集委員

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。

政府・与党は、2023年(令和5年)10月に導入予定の消費税のインボイス制度(適格請求書保存方式)において、小規模事業者に期限付きで、1万円以内の取引ならインボイス不要で仕入税額控除を認める特例措置を設ける方針を固めた。

小規模取引、インボイスなしでも控除可能へ

インボイス制度は、仕入税額控除をするにあたっての新たなルール。基本的には、インボイスを発行できる適格請求書発行事業者が発行するインボイスを受け取り、保存している者のみ、消費税の仕入税額控除ができるようになる。つまり、インボイスがなければ仕入税額控除ができないわけだ。

政府・与党はこのインボイス制度において、中小零細企業の事務負担軽減及び円滑な導入に向け、期限付きの特例措置を設けるため調整に入った。12月中旬にまとめる与党税制改正大綱に盛り込む。

案としては、数年間の時限措置として、一回の仕入れ額が少額な取引については、インボイスがなくても控除を受けられるようにするもの。従来通りインボイスなしで控除を認める方向だ。

対象となる事業者の線引きについては、課税売上高で年1億円以下に絞る案が有力。少額取引の額は「1万円未満」とする方向で調整している。期間、取引額の上限は今後詰めるとしている。

現行の区分記載方式では、3万円未満の少額取引や「請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるとき」は、一定事項を記載した帳簿保存のみで仕入税額控除を受けることができる。しかし、インボイス制度スタート後はこの「3万円未満」の特例措置がなくなり、3万円未満の少額取引においてもインボイスが必要となる。

そこで、中小企業のインボイス対応への環境整備の一環として、従来通りの「3万円未満」を基準としてはどうかとの意見もあったら、金額が大きくなると正確な納税を促すインボイス制度の目的とかけ離れるとの反対意見も多いことから「1万円未満」が有力となっている。

適格請求書発行事業者登録を済ませた事業者は10月末時点で約168万社。日本商工会議所が9月に公表した調査によると、4割の事業者は特段の準備をしていないという。そのため、政府は補助金などを使って経理・会計管理のデジタル化支援を進めていく考えだ。

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