最終更新日:2023-08-18
法人で高級車を取得するのは融資審査にマイナスなのか?
- 2023/08/18
監修者
徳永 貴則
(株)スペースワン 代表取締役 金融税理士アドバイザー講座主宰
大和銀行(現りそな銀行)にて、都内を中心に主に法人融資の新規開拓業務を行う。その後、本店融資部・審査部門を歴任。2,000社以上の融資に携わる。これらの経験を活かし㈱スペースワンを創設。銀行融資のコンサルをはじめ、事業再生や経営改善のアドバイスも行っている。
また、金融税理士アドバイザーの専任講師としても活躍中。
はじめに
最近、「法人にて高級車を取得するのはどうか?」多方面で質問を受けます。
質問される会社の多くは利益が多く出ているケースが多く、主たる目的は「節税」にあると思われます。(他の主たる理由は「見栄」と「自己満足」でしょうが…)
今回は法人で高級車を所有することで、融資審査にどのような影響があるのか?についてお話しします。
※高級車の定義(値段)は様々あると思いますが、今回は「10,000千円以上」を高級車と定義します。
本当に業務に必要なものか
この点は税務の観点でも同じような見方になりますが、銀行融資においても「この車種が本当に業務に必要なのか?」と見られます。私が銀行員時代にもそうでしたが、「固定資産台帳」はよくチェックしており営業車も当然見ております。
例えば、バランスシート内で車両の科目だけが大きく金額が目立っていれば、チェック対象になりますし、何より「公私混同」のレッテルを張られると、その後の融資審査に大きな影響を与えます。
具体的には「信用格付」における「定性的評価」の査定において「公私混同」の欄にチェックが入り、減点対象になります。
資金使途が問われる
車両購入に際し、「割賦」や「ローン」を使うケースもあります。仮に、自己資金で購入したとしても、銀行借入があった場合、バランスシート内で「借入金」と見合っていたとしたら、銀行としては「貸した金で高級車を購入した」と見なされます。
そうなると、融資をしたとしても「本業の運転資金に使わずに経営者の私利私欲のために金を使う」と見なされ、今後の融資には消極的になるはずです。
つまり、銀行融資の審査にとってみれば「百害あって一利なし」となるのです。
経営者保証ガイドラインに抵触する
また、融資を受ける際に「経営者保証」をしている時に、「経営者保証を外したい」と思っても、経営者保証ガイドラインの3原則のひとつに抵触します。
〇法人と経営者個人において「資産」「経理」を明確に「区分」「分離」すること
この原則に抵触することになり、仮に今後融資を受けられるとしても「個人保証」が必要になると思われます。
法人と経営者個人の間では、業務用資産と個人資産について区分・分離を行うことが求められます。法人にて必ずしも業務上必要ないと判断されれば、経営者保証の判断にもマイナスになります。
この問題を解消する方法は
〇個人資産と見なされるものは外部売却する
〇経営者個人が法人から買い取る
この2つしか解決法はありません。
皆さんご自身の会社の資産を見直しし、「個人資産」と見なされる可能性があるものに、ついては今後どういった方法にて解決していくのかをよく検討されることをお勧めします。
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