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最終更新日:2023-08-18

国税庁 マンション評価の「乖離」でパブコメ

  • 2023/08/18
国税庁 マンション評価の「乖離」でパブコメ

はじめに

国税庁はこのほど、「居住用の区分所有財産の評価について」の法令解釈通達(案)を公表し、パブリックコメントを募集した。

新通達による評価計算の簡易ツールも予定

近年、居住用の区分所有財産、いわゆるマンションの相続税評価額と時価(市場販売価格)に大きな乖離が生じるケースが増加。これを利用した“節税”も散見されるようになり、令和5年度税制改正大綱では納税者の予見可能性を確保する必要から、「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」旨が記載された。そこで国税庁では、市場価格との乖離の実態を踏まえたうえた上で、適正化に向けた評価額の補正を行うこととしたもの。
国税庁によると、居住用の区分所有財産の評価を新設し、一室の区分所有権等に係る敷地利用権、区分所有権それぞれについて、自用地・自用家屋の価額にそれぞれ一定の補正率を乗じた価額を「自用地としての価額」「自用家屋としての価額」とみなして評価することとしている。
具体的には、市場価格より相続税評価額の方が低い(評価水準が低い)ケースのうち、評価水準が60%未満のものについては、相続税評価額が低すぎるとして補正対象とする。補正率は、築年数や総階数、所在階、狭小度などを加味した「評価乖離率」に0.6を乗じて算出。これを自用地・自用家屋の価額に乗じて算出した価額を「自用地・自用家屋としての価額」とみなし、評価通達を適用して計算した価額によって評価する。
一方、市場価格より相続税評価額の方が高い(評価水準が100%超)ものについては、「補正率=評価乖離率」とし、評価水準が100%になるよう評価額を減額。評価水準が60%超100%以下の場合には調整は行わず、従って評価額も現行と変わらない。新通達は令和6年1月1日以後の相続、遺贈又は贈与から適用する。この通達による居住用の区分所有財産の評価については、納税者が簡易に計算するためのツールが用意される予定としている。

国税庁 マンション評価の「乖離」でパブコメ

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